映画「シークレット・サンシャイン」 | 茸茶の想い ∞ ~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり~

映画「シークレット・サンシャイン」

原題:Secret Sunshine
釜山(プサン)にも程近い密陽(ミリャン)、秘密の陽射し、それがその街の名前の意味だという、そのシークレット・サンシャインは彼女の心にも射すのか・・・

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イ・シネ(チョン・ドヨン)は幼い息子のジュン(ソン・ヨンジョプ)を連れて、その田舎町にやってきた。亡き夫の故郷だというその町の手前で車は故障し息子は愚図り、物語の始まりに不吉な予感を漂わせる。亡き夫は借金まみれで、おまけに浮気していたという噂もあるのに、なぜ彼女はあえてその町に住もうというのか、例え浮気されても、死ぬまでいや死んでもなお愛しているというのか、嘲笑と哀れみと変人と罵られながらの反発から虚栄心を滲ませながらも気を張り気丈に明るく振舞おうとする彼女に、なぜか心惹かれるキム・ジョンチャン(ソン・ガンホ)がいる、けれども彼女は彼には目もくれずピアノ教室を開いて息子だけを生きがいにつつましく生きようしている。そんな彼女に突然訪れる不幸、信頼できそうな登場人物に見えるパク・ドソプ(チョ・ヨンジン)、塾を営む彼が実は愚直な大馬鹿者で彼女の虚栄を見破れず架空の資産目当てに誘拐脅迫事件を起こしてしまう。彼女のとった行動は・・・銀行に駆け込み僅かな全財産を現金に変え犯人の言いなりに、無我夢中の行動の中でジョンチャンの家の前まで行くが、助けを求めることを躊躇った結果が奈落の底・・・愛する息子の亡骸を目前に成す術もなく悲嘆にくれ神を信じることで救いを求めるが、またしても彼女を襲う過酷な神の仕打ち・・・
意を決して赦しを与えに行ったはずの面会の場で、囚人である彼が放った言葉には愕然とする、悪びれることなく遺族を前にしながら既に神に赦しを貰い平安な日々を過ごしているという、あの場で発狂するほどに絶叫するのではないかと思ったけど、失意のあまりに失神してしまい、それからの彼女の行動が気が触れたにしても面白い、それにしてもこの映画の見所は、どんなに夕食の約束をすっぽかされようと、どんなに疎まれようと、彼女のことを思い続けるジョンチャンのひたむきな愛のほうかも知れない、最後に幸福のサンシャインを浴びるのは彼・・・
(wowow)  シークレット・サンシャイン