良く分かる(?)国債のお話 その1(債権・債務・国家のバランスシート) | todo08の雑記帳

todo08の雑記帳

…多分かなりリニューアルするはずw

さて、予告通り国債のお話をいたします。
これを理解しておけば今年度の政府が組んだ予算の正当性、逆に民主党が進めるであろう経済対策の大間違いがしっかりと理解できてきます。

まずコチラの記事からご覧いただきましょう。
意味に関してはちゃんと後で説明しますので、今はとりあえず読み流す程度でもおkです。

対外純資産、08年末は225兆円 円高影響し3年ぶり減少

日本の政府や企業、個人が海外に持つ資産から負債を引いた「対外純資産」の残高は2008年末時点で、前年末比9.9%減の225兆5080億円となり、3年ぶりに減少した。対ドルなどで円高が進んだ影響で、円換算した外貨建て資産の価格が目減りしたのが主因。ただ水準は07年末に次いで過去2番目の高水準を維持した。

 与謝野馨財務・金融・経済財政相が26日午前の閣議に、昨年末の対外純資産残高などを盛り込んだ「対外の貸借に関する報告書」を提出した。国際通貨基金(IMF)の資料をもとに比較すると、日本は18年連続で世界最大の債権国となったもようだ。


「対外純資産」「世界最大の債権国」・・・よく意味が分かりませんね。
「対外純資産」に関しては記事冒頭で説明しているように「日本の政府や企業、個人が海外に持つ資産から負債を引いたもの」です。つまり、海外で日本人は不動産や株を沢山買ってますよって意味です。

「世界最大の債権国」の話は後にするとして、次にこの記事をご覧いただきましょう。
上の記事と比べてみて下さい。ちょっと古い記事ですが・・・

国の借金846兆円 今年度末には900兆円台へ

財務省は8日、国債と借入金、政府短期証券を合わせた国の債務残高が平成20年度末で、846兆4970億円になったと発表した。過去最悪だった前年度に比べて2兆7426億円減少したが、21年度末には、不況に伴う税収減や大規模な経済対策により924兆円と初めて900兆円を突破する見通しで、財政の悪化傾向は続く。

 20年度末時点で、国民1人当たりでは約663万円の借金を抱えている計算となる。

 20年度の債務残高の減少は、国債のうち、政府系金融機関などへの財政投融資の財源に使う「財投債」が大量に償還期を迎えたことなどから8兆7042億円減となったためだ。

 公共事業や財源の穴埋めのために発行する普通国債は4兆4772億円増えたものの、国債全体は680兆4482億円と前年度に比べて3兆8796億円減った。

 国債以外では、借入金が4072億円増えて57兆5661億円、一時的な資金不足を補う政府短期証券が7298億円増の108兆4826億円だった。

 21年度は経済対策のための補正予算で10兆円を超える国債を追加発行することなどから、年度末の国債残高が725兆円に拡大し、債務残高全体を急増させる主因となる。


大変ですねぇ、日本って・・・

って思われるかもしれませんが、実はそう思うことこそが悲劇なのです!
この2つの記事、実は非常に矛盾しています。
それを何故か説明していきましょう。

その説明の前に、これからの説明を理解するうえで重要な「債権」と「債務」についてお話します。

「債権」・・・お金を貸してる側
「債務」・・・お金を借りてる側


ややはしょって書いてますが、こういう風に理解しておいて下さい。

ソレを理解していただいた上で上最初の記事に書いてある「世界最大の債権国」の意味を考えてみると、

「世界最大の債権国」=「世界で一番お金を貸している国」≒「世界でも有数のお金持ち国家」



となります。
しかしそうであるならば2つ目の記事がおかしくなります。

「え、借金ありまくる国が何故世界有数のお金持ちになるんだ!?」

と。

どちらかが間違ってますねぇ・・・実は2つ目の記事に色々と嘘があるのです!
では何故間違っているのか?ソレが分かるためにはまず国家のバランスシートと言うものを理解しなくてはなりません。図を出してみましょう。上が2007年、下が1990年(バブル絶頂期)です。
一体何を伝えているのか?-国家のバランスシート
(注)有形資産(商品在庫などの卸資産・建物・土地・機械装置など)は含まれない。 
(廣宮孝信「国債を刷れ!」P.19より)


いきなり見てもさっぱり何のことだか分かりませんね。説明していきましょう。

ココで注目していただきたいのは、「政府の負債」と「民間の資産」です。

バブル期と比較してみると・・・

政府の負債の増加・・・(962-294)=668兆円
民間の資産の増加・・・(5353-4219)=1134兆円


何と、バブル期よりも民間の資産は1134兆円も増えており、これは政府の負債(全部国債と言うわけではありません)の668兆円の増加よりも遥かに多く増えているのです!

そして本題になりますが、政府がお金を借りている主な調達先は民間です。
その民間が政府の負債以上にお金を増やしていることを考えれば、実は国が借金をする余地はむしろ増えているのです!

次回は「国債発行の必要性」「日本の国債の正体」を中心に触れていきます。明日以降にまた・・・