📘 AIって何?第15章 AIが秘書になる日 第一話
~せっかく旅行エージェントを作ったのに負けました~
「Kai、聞いてくれ!」
お父さんは夕食の席に着くなり言いました。
「ついに完成した!」
「何が?」
Kaiはあまり興味なさそうに唐揚げを食べています。
「旅行エージェントだよ!」
「また何か作ったの?」
「またとは何だ。」



実を言うと、私はここ数週間、
AIエージェントというものを勉強していました。
最近、AI業界では大流行しています。
エージェント。
何だか秘密組織のスパイみたいな名前ですが、
簡単に言うと、
人間の代わりに仕事をしてくれるAI
です。



「それで?」
Kaiが聞きます。
「大阪旅行を提案してくれるエージェントを作ったんだ。」
「へぇ。」
「すごいぞ。」
「ふーん。」
「もっと驚いてくれ。」



私は少し寂しくなりました。
せっかく作ったのです。
誰かに自慢したい。



「じゃあ試してみよう。」
私はパソコンを開きました。
エージェントに質問します。



『大阪へ一泊二日の食い倒れ旅行を計画してください』



数秒後。
回答が出ました。



道頓堀。
串カツ。
お好み焼き。
たこ焼き。
新世界。
黒門市場。



「おお。」
Kaiが言いました。
「普通に良さそうじゃん。」
「そうなんだ。」
私はうなずきました。
「普通に良かった。」



ところが問題がありました。
私は同じ質問をChatGPTにもしてみたのです。
すると……



ChatGPTの方が面白かった。



「え?」
Kaiが吹き出しました。
「自分で作ったんでしょ?」
「そうなんだ。」
「負けたの?」
「負けた。」



なんだか悔しい。
数週間かけて作った旅行エージェントです。
それなのに、
普段使っているChatGPTの方が良い旅行を提案してきたのです。



「何が違ったの?」
Kaiが聞きました。



私のエージェントは、
大阪のことをよく知っていました。
有名な観光地。
人気の店。
アクセス方法。
ちゃんと調べていました。



でも、
私のことを全然知らなかった。



ChatGPTは知っています。
私が登山好きなこと。
温泉が好きなこと。
旅行に行くと朝から晩まで動き回ること。
『せっかく来たんだから全部見たい』
という性格であること。



つまり、
大阪のことだけでなく、
私のことも考えていたのです。



「なるほど。」
Kaiが言いました。
「大阪を知っているだけじゃダメなんだ。」
「そういうこと。」



私はここで、
エージェントについて大事なことに気づきました。



エージェントは、
検索できるだけではダメ。



もっと言うと、
エージェントを作っただけではダメ。



その人がどんな人なのか。
何が好きなのか。
何をしたいのか。
そこまで考えられて初めて、
『役に立つエージェント』
になるのです。



「つまりお父さん。」
Kaiが笑いました。
「お父さんが作ったエージェントは、まだ新人だったんだね。」



ぐうの音も出ません。
確かにその通りです。



でも私は少しうれしくもありました。
なぜなら、
次に何を作ればいいかが見えたからです。



大阪を知るAIではなく、
私を知るAI。



そして、
家族一人ひとりに合わせて旅行を提案できるAI。



もしかすると、
それが本当の意味での
『AI秘書』
なのかもしれません。



AI業界の常識/ふつうの人の非常識
最近話題のAIエージェントは、
検索ができるAIと思われがちです。
もちろん検索は大切です。
でも本当に難しいのは、
検索した情報を、
『誰のために使うか』
を理解することです。
実は、
旅行の上手な友人が頼りになるのも同じ理由です。
観光地を知っているからではなく、
あなたのことを知っているからなのです。
「AIエージェントを作ったのに、自分が普段使っているChatGPTに負けた」
というのは、実は今のAI業界そのものを表していて、
「ツールを増やすこと」と「良い体験を作ること」は別問題
という非常に重要な教訓になっています。

今回は、claude codeというツールを使って作ってみました。実は、前回のTakeshi_Avatarも、claudeで作っています。全く別のファイルで動かしているのでこのデータが
反映されないという事情があります。これは原因がはっきりわかるので良いのですが、ChatGPT君の方は、いろいろなプロジェクトに跨って、最近は長期記憶しているので、少し怖いです。
油断できませんよ!

なお、エージェントの本来の目的は、このような情報、今回は大阪食い倒れ、ですが、これを使って、実際に店や、新幹線、ホテルの予約までを実行することです。
これは、プログラム(AI)が余計なことをやらない、勝手に決済したり、違うものを買っちゃったり、そんなことのないように制御をきちんとしないとダメなので、難しい。
徐々にこちらにもチャレンジしていきますね!