特に印象に残った本 2021 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

2021年が終わろうとしている。

 

去年の今ごろは

来年の今ごろもきっとコロナは続いているだろうな

でももしかしたらワクチンでかなりましになっているかもしれないな

そうだったらいいな

とおぼろげに思っていたが

けっきょくひどい状況は続いていた。

 

人間の適応力というものはおそろしいもので

そろそろこの状況に慣れてしまっているような気がする。

 

デルタ株

オミクロン株

 

人間が活動を緩めないでリスクをおかそうとする

ちょうど微妙な加減にはまっている。

 

ウイルスに知能があるわけではなく

数多く変異するなかで

たまたまいまの状況に適応したウイルスだけが広まっていく

という仕組みなのだが

それでもついつい

ウイルスに戦略があるかのように感じられてしまうのは

人間が何に対しても擬人化してしまう

バイアスのせいだろうか。

 

ウイルスがあろうがなかろうが生活が変わらないひと

ウイルスのせいで生活が苦しくなったひと

ウイルスのせいでむしろ生活がうるおったひと

ウイルスがあろうがなかろうが生活が苦しいひと

さまざまいるはずだけど

それぞれの連帯が進んだとは思えない。

 

個人的には

仕事の環境が変わり

責任も重くなった。

 

これまでに一度だって楽に仕事をしたことはなかったけれど

今年は特にたいへんな1年だった。

 

粘り強さが身上だけど

今年ばかりは

無念これまで・・・

と何度折れそうになったことか。

 

まわりの励ましや慰めによって

なんとか年末を迎えることができた。

 

 

★感想は書けていないけど特に印象に残ったのは

斎藤幸平さんの「人新世の「資本論」」

 

年の初めに読んでいたんだけど

これはちゃんと感想を書きたいなと思っているせいで

ついに書けないままいまになってしまった。

 

SDGsは大衆のアヘンである

とは刺激的な表現ではあるが

実際そのとおりで

いまやっていることで自分を許せてしまう危うさを内包している。

 

いまより良い社会

いまより良い地球環境を

未来に繋いでいく

っていうのがSDGsの本質だとすると

けっして気休めに甘んじていてはいけない。

 

そんなにきれいで簡単なことじゃないんだよ

さまざまなジレンマも抱えているんだよ

と肝に銘じておきたい。

 

★これも感想を書けていないんだけど

野田秀樹さんの「フェイクスピア」

も良かった。

 

まさか後半にあそこに繋がっていくなんて

想像していなかった。

 

懸命に対応しようとしていた現場の思い。

現場の担当者の倫理。

 

後から振り返ったのではどうやっても記録されない

そのときその場所で起こった人間の尊厳。

 

話が逸れるが

主演の高橋一生さんは

荒木飛呂彦さんの「岸部露伴は動かない」のドラマ化で

露伴先生を演じていて

それも実にさまになっており

なかなかやるな。

 

 

★ついに完結

町田康さんの「生の肯定」

 

東京飄然

どつぼ超然

この世のメドレー

 

そして到達した

生の肯定

 

moonlightながら

がまさかそんなことになるなんて

 

文体もろとも世界観に没入させていただきました。

 

没入小説。

 

 

★熱かった将棋界

羽生善治さんの「瞬間を生きる」

岡村啓嗣さんの撮影した写真で

羽生善治九段の軌跡を辿ったものなんだけど

今年は将棋界が熱かった。

 

藤井聡太さんと豊島将之さんの熱戦。

結果

藤井聡太さんは竜王を含め四冠に

豊島将之さんは無冠に。

 

藤井聡太さんの無双ぶりも見たいし

豊島将之さんの捲土重来にも期待したい。

 

来年はまずは渡辺明名人と藤井聡太竜王との対局がたのしみ。

 

もちろん羽生善治さんの活躍もほんとうに願っている。

 

 

★天気の本がこんなに売れる?!ってくらい売れたのが

荒木健太郎さんの「すごすぎる天気の図鑑」

 

もともとぼくは空が好きなので

もちろん買いました。

 

まだ全部は読めていないので感想は書いていませんが

この本のおかげで

空好きのひとがこんなにたくさんいるんだっていうのが

実感できた。

 

おかえりモネ

の影響もあっただろう。

 

 

★不確実な時代への不安のあらわれ?なのかもしれない

鏡リュウジ責任編集「ユリイカ 12月臨時増刊号 総特集 タロットの世界」

カフカ全集「日記」

すばる「特集 呪」

なんかをところどころ読んだ。

 

このどれにも共通する雰囲気がある。

 

人間の不安

予見不可能性

不確実性

理不尽なことが平然と起こる諦念

 

 

 

実感として

新しい作品を読みたいという気持ちよりも

かつて読んだことがある作品や

未読の過去作品などを読みたいという気持ちが強い1年だった。

 

これもコロナで疲弊した心理をあらわしているのかもしれない。

 

もちろん仕事の重圧も影響しているだろう。

 

芥川龍之介「地獄変」

 

織田作之助「木の都」

 

谷川俊太郎さんの「詩を贈ろうとすることは」「手紙」

 

川上未映子さんの「先端で、さすわさされるわそらええわ」「水瓶」

 

川端康成「掌の小説」

 

谷崎潤一郎「刺青・秘密」

 

永井荷風「断腸亭日乗」

 

樋口一葉「にごりえ・たけくらべ」

 

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

 

宮本武蔵「五輪書」

 

ヘミングウェイ「老人と海」

 

ネイサン・イングランダー「アンネ・フランクについて語るときに僕たちの語ること」

 

はるき悦巳「じゃりン子チエ」

 

尾田栄一郎「ONE PIECE」

 

ちばてつや・高森朝雄「あしたのジョー」

 

などなど

気の向くままに読み進めた。

 

読み切れていない作品もある。

 

又吉直樹さんのyou tubeチャンネル

「渦」

インスタントフィクションがめちゃくちゃおもしろかった。

 

 

 

さて2022年がやってくる。

 

個人的には2021年の積み残しというか

引き続きの懸念が山ほどあるので憂鬱な面もあるものの

環境が変化した当初のような

途方に暮れる感じはなくなってきたので

なんとか乗り切りたい。

 

体力気力の著しい衰えとのたたかいになるかもしれない。

 

世界については

コロナ前のさまざまな問題

格差の拡大や社会システムの老朽化

コロナのせいで

どこまでがコロナによる問題で

どこからがコロナと無関係にそもそも問題だったか

というのがわからなくなってしまった。

 

いまから切り分けることにそれほど意味はないので

いまよりましな社会

いまよりましな地球環境を

未来に繋げるために何がベターか

という視点で思考し行動していきたい。

 

あと

呪いとか祈りとか

スピリチュアルなことに傾倒していくひとがどんどん増えそうな気もするので

そこはぼくとしては

冷静に見ていきたい。

 

とにかく

無事に2021年を終えられそうで

それはほんとうにありがとう。

 

ぼくは助けられて生きています。

 

ぼくも誰かの助けになっていたらいいな。

 

2022年には明るい気持ちの時間がもっと増えますように。