噂にはきいていたけどおもしろかった。
1986年の刊行だから
いまから34年も前の作品になるけど
まったく古びていないどころか
むしろあたらしい。
筒井康隆さんといえば
傾いた世界 自薦ドタバタ傑作集2
に所収の作品群
特に
毟りあい
なんかにみられる
グロテスクなブラックユーモアを
ついイメージしてしまうのだが
時をかける少女
みたいなファンタジーもいいんだよね。
で
この
旅のラゴス
も壮大なファンタジーだと思う。
集団転移とか壁抜けとか
そういうSF要素も盛り込みつつ
人間の愚かさや愛おしさが描かれている。
特に南の果てで
かつての人類が残した書物を読み漁る場面なんかは
読書好きとしては胸を打たれるものがある。
どの分野から順番に読むか
なんてすごくよく考えられていると思う。
それから
北の果てで迎えるラストシーン。
こういう終わり方もいいよね。
とにかく
旅に出られないいま
むしろ壮大な旅に出たような気分にさせてもらえて
たのしい時間だった。
それにしてもラゴス
美女たちからモテてモテて
うらやましいったらない。
--旅のラゴス--
筒井康隆