2019年も今日でおしまい。
おかげさまで平穏に終えられそうだけど
ここに至るまでのこの1年はなかなか激しかった。
去年の終わりに
今年がこんなことになるなんて
全然予想できていなかった。
周囲の優秀なひとたちに助けられてなんとか乗り切れたが
来年はそのひとたちもそれぞれ次のステップへ進む。
引き留めたいけどそういうわけにもいかないので
来年はぼくが自分自身で乗り切らないといけない。
そう気を引き締める。
世間はいろいろとほころびがあらわになってきて
そろそろ気づかないふりもしていられない状況になってきた。
来年は大きな転換がやってくるかもしれないけれど
世間は次の準備が出来ていないので
転換し損ねてぐだぐだしているうちに
ジリ貧の道に進みそうな予感もある。
すくなくとも自分は準備しておこう。
今年特に印象に残った本をまとめておく。
★産む=無条件に善 ではないというインパクトを与えてくれたのは
川上未映子さんの
夏物語
産む側の論理で語られがちな
産む
ということについて
産まれさせられる者の身にもなって考えてよ
という問題提起をし
しかもそれが
まあまあ世間での反響がある
っていうので社会にインパクトを与えたなと思った。
産むべきではない
ってことではなくて
産むことの意味をしっかり考えてから産むべき
っていう考えがデフォルトになれば
ひとりひとりの人間の生き方もていねいになるんじゃないかな。
読書の楽しみのなかには
価値観を揺さぶられるっていうのもある。
★前から好きだったけどさらに好きになったのは
又吉直樹さん。
今年は
人間
と
東京百景
を読んだし
人間 刊行記念の講演会にも参加した。
このひとの作品からは
エネルギーが感じられて
読んでいて親近感が湧くんです。
1行1行から
ああこの感じわかるわあ
と心に刺さる感じが病みつきです。
話すときの
ひとことひとこと自分の言葉だけを抽出している感じも好き。
★壮大な世界観が癖になるのは
上田岳弘さんの
ニムロッド
と
キュー
太陽
からのファンでこのひとの世界観はどれでも好き。
これだけが世界じゃないけど
こういう世界の見方も持っていたら気持ちがいい。
平成最後の芥川賞の受賞もうれしい。
次はどんなふうにテーマを設定していくかもたのしみ。
芥川賞といえば
こちらあみ子
から好きな
今村夏子さんが
むらさきのスカートの女
で
令和最初の芥川賞を受賞したのもうれしいし
(来年は 星の子 が芦田愛菜ちゃん主演で映画化!!)
2016年上半期受賞の
村田沙耶香さんの
地球星人
もあいかわらずタブーに切り込んでいておもしろかった。
★かわいい絵本で癒されたのは
あおきひろえさん 文
長谷川義史さん 絵 の
おいせまいり わんころう
こいちゃんのために
犬のお伊勢参り。
とにかくかわいい。
船場のまちからの犬のお伊勢参りの様子を
たのしみながら知ることができるっていうのも良かった。
★ちんぷんかんぷんながらも知に触れた気持ちになれたのは
マルクス・ガブリエルさんの
なぜ世界は存在しないのか
世界全体というものは存在しないが
それ以外のものはすべて存在する。
唯物的にすべてを説明しようとする勢力との対決。
見えぬけれどもあるんだよ。
見えぬものでもあるんだよ。
★中国の作家のスケールの大きさに唸ったのは
劉慈欣さんの
三体
ただただその大きさに圧倒された。
すごかった。
チョ・ナムジュさんの
82年生まれ、キム・ジヨン
島田雅彦さんの
人類最年長
と
君が異端だった頃
芦田愛菜さんの
まなの本棚
三浦瑠璃さんの
孤独の意味も、女であることの味わいも
これらもとても印象に残っている。
2019年は
身近に生命誕生の話題が多かったこともあり
産まれる
ということについてよく考えたような気がする。
生老病死。
誰もが避けては通れない道。
さて
2020年はどんな1年になるだろうか。
もちろん自分にできることは怠けずやっていくつもりだが
自分ではどうしようもないことにもうまく適応していきたい。
災害も頻発するようになっている。
格差の問題も
我慢の張力がそろそろ臨界に入りそうだ。
身を引き締めて
自分の関わっているものごとを点検し直さないといけない。
体力の低下も酷くなってきた。
それにつられて気力の低下も気になる。
感性や集中力も鈍化が進んでいる。
他力本願になりそうな気持をこらえて
明日からまたあたらしい1年の航海を始めよう。
良い本との出合いがありますように。
良いひととの出会いがありますように。