美しい星 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

実はぼくにとっては初めての

三島由紀夫作品。

 

あの死に方の印象が強くて

つい敬遠してしまうんだよね。

 

でも

川端康成とノーベル文学賞を争うほどの

作家なので

読みたいという気持ちもどこかにあって

あるとき書店で平積みにされていたこの作品を手にとったわけ。

 

映画化されたから平積みされてたみたいなんだけど

帯に載ってる俳優たちはあえて見ないようにして

作品を読み始めた。

(でもリリー・フランキーだけは目に入ってしまった。)

 

読み始めは

なんてモダンでかわいらしい作品なんだ

って思った。

 

ものすごく現代風の雰囲気。

 

文章にも癖がなく端正。

 

ところどころにお気に入りの表現が入ってくる。

 

ぼくも彼らのように

ほんとうは地球人ではなくて●●星人なんだ

なんて信じながら暮らしたい

って考えながら読んでた。

(ところでぼくは何星人だろう?)

 

でも

暁子があんな感じになってから

どんどん不穏な方向に話が進んでいって

こういうギャップを狙っての序盤のかわいらしさだったのか

と感じ始める。

 

ところで

暁子があんな感じになったときには

なぜか

太宰治の斜陽のかず子や

谷崎潤一郎の細雪の妙子

が思い浮かんだ。

 

別につながりはなかったけど。

 

それから

仙台の三人組の設定は笑えた。

 

なんて典型的な三人組なんだ

って。

 

あんな暗い考え方じゃぜったいに女性にはもてないよな。

 

もてないから暗い考え方になったのかもしれないけど。

 

せめて気持ちは明るくいきたいものだ。

 

って

それはともかく

地球をめぐる両者の対立

応接間のシーンでのやりとりは

なかなかシリアスだったが

いかんせん

いまの世界情勢とはずれていて

いまひとつ迫力や説得力には欠けていたような気がする。

 

ぼくの読みが浅いせいかもしれないけれど

普遍的

っていうのはむずかしい。

 

全体を通して

三島の美意識の片鱗は感じられたかもしれないけれど

この作品で三島を知った気になってはいけないような気がする。

 

そういうわけで

いずれ

仮面の告白

とか

金閣寺

とか

豊饒の海シリーズ

とかを読んでみたい気持ちになった。

 

 

 

 

--美しい星--

三島由紀夫