2017年も残すところあと2日。
外はぽかぽかいい天気。
おかげさまで穏やかな気持ちで今年を終えることができそうだ。
今年どうなるだろうと気になっていた自分のこと。
トータルとしてすべて自分のプラスになるように進んだと思う。
もちろん自分の日々の行動の積み重ねの成果であるとは言いたいが
縁や運というものの影響の大きさは認めている。
っていうか
ほとんど運や縁のおかげだった
というのもうすうす気づいている。
同じことを同じようにやってきたからといって
必ずしも同じ結果にはならないのだから。
だから
自分の過去の成功は運や縁のおかげ
自分の未来の成功は日々の行動の積み重ねにかかっている
っていう謙虚な姿勢でこれからも過ごしていきたい。
そして
誰かの不遇はその誰かの日々の行動の積み重ねの結果
だなんて自己責任論で突き放さずに
きっと運や縁がなかったんだなあ
あのひとが運や縁に恵まれますように
と願う気持ちを忘れないようにしたい。
ぼくがこんなふうに穏やかな気持ちでこの時を迎えられるのも
関わって支えてくれた周囲のたくさんのひとたちのおかげなのだ。
正直なところ
1月から9月くらいまではほんとうに必死だった。
自分だけでは絶対に乗り切れなかった。
だから
調子に乗るなよ、自分。
ところで
人間は感情の生き物である。
感情の起伏を抑えることが社会人としてのあり方だ
というようにこれまで生きてきたが
うれしいときには素直に感情を出していこう
という気分に今年はなれた。
これはぼくにとってはかなりの進歩である。
それから
世界、社会の問題。
ここのところ毎年書いているが
やはり不穏な空気を感じないわけにはいかない。
酷い状態で高止まりしているような気がする。
この状態に慣れてきつつあるような気がする。
麻痺してはいけない。
それにしても
平和ボケでない状態っていうのはこんなに不安な状態だったのか。
平和ボケでいられたあの頃が懐かしい。
とにかく戦争だけは絶対に絶対に絶対に回避しなければならない。
世界で起こるテロや挑発、戦争の影で笑っているひとたちがいる。
儲かっているひとたちがいる。
ひとの痛みをなんとも思わないそのひとたちに踊らされないように。
今年特に印象に残った本をまとめておく。
★特に
人間は理性的だなんていわれてるけどそもそも動物であるっていうことを忘れては対応を誤ってしまう
と痛感したのは
中野信子さん
の著作の数々
あなたの脳のしつけ方
サイコパス
など
脳科学の見識だけでものごとを断じてしまうのは危ない
とは思いつつも
ぼくの思考はかなりの部分で影響を受けている。
★特に
人間の世界って一部の支配者に踊らされてる
と共感できたのは
中村文則さんの
R帝国
ここで描かれている世界の構造は
かなりの部分でぼくの世界観と一致している。
まさにディストピアである。
そしてひとは自分で決めるよりもひとに委ねることが楽なので
その意味とか結果とか
自分との関係性とか
そういうものを考えずに流れに乗ってしまう。
そして
いよいよ自分がまずい局面になったときにようやく
自分が支配されていた
ということに気づく。
警鐘を鳴らすこと。
聞いているひとがいないように感じても
自分の無力を嘆いていないで
とにかく警鐘を鳴らし続けること。
★特に
思考の流れについての考え方
を教えてくれたのは
千葉雅也さんの
勉強の哲学 来たるべきバカのために
すごく突拍子もなさそうなタイトルで
突拍子もなさそうな論理展開なんだけど
実にすっきりとぼくの頭に受け入れられた。
1 環境のコードにノル
2 ツッコミ=アイロニーで掘り下げる
3 環境から浮く
4 ボケ=ユーモアで広げる
5 環境から浮く
6 享楽的こだわりで仮固定(中断)する
7 1に戻って何度も繰り返す
これはぼくも使わせてもらってます。
★特に
ぼくが気になっている幸福や品や満足
について教えてくれたのは
永井均さんの
子どものための哲学対話
ネコのペネトレにはいいことをいろいろ教えてもらったよ。
--根が明るいっていうのはね、なぜだか、根本的に、自分自身で満ちたりているってことなんだ。なんにも意味のあることをしていなくても、ほかのだれにも認めてもらわなくても、ただ存在しているだけで満ちたりているってことなんだよ。それが上品ってことでもあるんだ。
それにしても羽生さんの分析力や先見の明。
なんでそんなことがわかるの
っていうことがわかっちゃう。
しかも決して神懸かりではなくて
きちんと大局的に考察した結果なんだよね。
すごい。
それから羽生さん
竜王復帰と永世七冠獲得
おめでとうございます!
それにしても
AIがぼくたちの日常に入り込んでいるのを実感したこの1年だった。
しかもぼくなんかの感覚をはるかに上回るものすごい速さで。
★特に
超越した世界観がたのしい
って思えたのが
上田岳弘さんの
塔と重力
このひとの作品では
スケールの大きな世界観にいつも圧倒されながら
楽しませてもらっている。
読書の愉悦。
★特に
この文体に病みつき
ってのめり込んだのは
町田康さんの
ホサナ
最近の町田作品のなかでいちばん好みだった。
犬たち、ブリーダーたちに翻弄される感じ。
なし崩しにどんどん壊れていく感じ。
人間ってかっこつけてもどこまでもぐだぐだだ。
★特に
若いひとの心理描写
に納得できたのは
又吉直樹さんの
劇場
これ、すごくよかった。
本業作家でなくお笑い芸人の作品だから
っていう理由で敬遠しているひとがいたらもったいない。
感情が揺さぶられるほどの
繊細な心情の表現。
ああこれわかる
これもわかる
これもこれもわかるううう
って自分がえぐられていくようでつらくもあり
でもこれをわかってくれるひとがすくなくともひとりこの世界にはいる
っていう救済され感。
ことし最高のヒロインは
沙希ちゃん。
しあわせになってほしい。
★特に
人間味ってこういうことなんだ
って感じたのは
戸部田誠(てれびのスキマ)さんの
笑福亭鶴瓶論
おれはミッキーマウスを超えたい
って比べる相手がそもそも人間じゃないけど
それくらいの志に迫力があるし
実際にもはや現実味がある。
ぼくはどうでもいいことや雑談が苦手なのだが
鶴瓶さんの
ひとへの興味と信頼
っていう部分を見習いたい気分になった。
かなりたいへんな道のりだろうとは思うけど
これからの人生はもう少しそっちよりにシフトしていきたい。
こうして振り返ると
ぼくはやはり本に影響を受けているし
まだまだ影響を受けたいし
世界のあたらしい見方を知りたいし
作者との対話をたのしんでいる。
読みたいけど読めていない本はまだまだあって
いまも読みかけの本はたくさんあるし
これからも新しい本がどんどん出てくる。
本に飽きることがないだろう
と思えることは人生にとって実に幸福な見通しである。
2018年のぼくは
きっとあたらしいフィールドで悪戦苦闘すると思うけど
そんなときにもいつも本を傍らに置いて
本の世界で学んだりどきどきしたり息抜きしたり風を感じたりしながら
すり抜けていきたい。
いろんな本が出版され
いろんな本を読むことができるこの環境に感謝します。
ありがとう。
ありがとう。
来年も
こころふるわされ
世界がちょっと変わって見える
そんな読書体験ができますように。