人工知能の核心 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

2016年5月に放送された

NHKスペシャル 天使か悪魔か 羽生善治 人工知能を探る

の取材を基にした

羽生さんとNHKスペシャル取材班の本。

 

つい先日もその続編みたいなのをやってた。

 

世間はいま

14歳の藤井聡太四段の話題で持ちきりだが

ぼくはやはり羽生さん贔屓だ。

 

羽生さんは

かねてから人工知能に関心がある。

 

人工知能には恐怖心がない

っていう観察は核心を突いていると思う。

 

恐怖心がないからこそ

人間では到達できない非情なまでに徹底した

合理的な答えを導き出す。

 

人間は頭では合理的であるとわかっていても

恐怖心を克服できないせいでその答えを受け入れられない。

 

それに

恐怖心は人間にとって必要なものでもあるので

その恐怖心を無視した合理性にはついていく気になれない。

 

ついていけたらそれはサイコパスだ。

 

ただし

恐怖心を克服してでも従うべき合理性があると人間が納得すれば

人工知能の導き出す答えは

人間の社会のベースとなる考え方を

おおきく変えることになるだろう。

 

人工知能のブラックボックスが導き出した答えに

人間があとから理由をつけることになるのだが。

 

それから

将棋の話でいうと

人間ならそれまでの方針や手順を踏まえたうえで

つまり時間的な経過を考慮しながら次の手を指すのだが

人工知能はそれまでの経過などお構いなしに

たとえば自ら積み上げてきた戦略などにも拘泥せずに

その瞬間からその先の戦略を決定する

というのも興味深い考察だった。

 

人間の思考は

時間(歴史といいかえてもいい)という物語に制約されるし

またそこに美意識があるのだから

それを否定するのにはかなりおおきなエネルギーを必要とする。

 

人工知能を知ることは人間を知ることにつながる

っていうのはまさにその通りだと思う。

 

いずれにしても

人工知能の進化は止まらない。

 

変化を注意深く観察し

未来を予測し

自分が生きやすくなるような人工知能社会との付き合い方を

身につけなければ厳しい時代である。

 

とはいえ

これまでのさまざまなイノベーションと同じく

一部のひとにとっては悲惨なダメージを与えるものだけど

大多数のひとにとっては

なるようになる

わけなので過度な心配をしてもしかたがないのだが。

 

人間の適応力は

無責任なくらいにすさまじかったりするのである。

 

それにしても羽生さんの関心の広さと

その視点の確かさには

あまりにも驚かされる。

 

 

 

 

--人工知能の核心--

羽生善治

NHKスペシャル取材班