重力の虹 第1部 ビヨンド・ザ・ゼロ | (本好きな)かめのあゆみ

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ふうーっ。

ようやく第1部を読み終えた。

トマス・ピンチョンさんの
重力の虹。

まあ
読み終えたっていっても
4部あるうちの第1部
だけなんだけど。

それだけでも300ページは越えてるんだけどね。

それにしても
実に難解
っていうか
ちんぷんかんぷん
な感じ。

まるで現代音楽を聴いているみたいな気分。

散文のような詩のような。

でも
こういうの嫌いじゃない。

小説の世界を感じられる
っていうか
雰囲気はわかるような気がするし。

やっぱり
独特であればあるほど
読みながら非日常感を得られるし。

いまのところ
ぼくが理解できた範囲で興味が湧くのは
連合軍情報局ACHTUNG中尉 タイロン・スロースロップ
ホワイト・ヴィジテーションの統計学者 ロジャー・メキシコ
ホワイト・ヴィジテーションのパヴロフ主義者の生理学者 エドワード(ネッド)・ポインツマン
あたりの動き方。

第2次世界大戦末期の1944年12月
ドイツからイギリスに向けて
V2ロケットが爆弾を積んで飛んでくる。

ぼくの想像では
このV2ロケットの弾道が
重力の虹(原題 GRAVITY'S RAINBOW)
ってことなんだろうと思うのだが
どうだろう。


このV2ロケットは
音速を超える速さなので
まず着弾して爆発し
落下時の爆音はその後に聴こえるという。

だから
被弾したひとは
落下の音を聴くことができない
あるいは
爆弾の被害を受けた後に落下の音を聴く。

この
まず現象が起こり
それから予告が届く
っていうのがこの物語の核になっているのではないかと
想像する。

タイロン・スロースロップは
ロンドンでナンパを繰り返すのだが
なぜかその後
スロースロップがナンパした場所にV2ロケットが着弾する。

このことになんらかの因果関係があるのか。

パヴロフ主義者のポインツマンは
タイロンが幼少期に受けた実験がもとで
なんらかの条件反射を起こしており
しかもその条件反射は
ゼロ領域を飛び越えて(ビヨンド・ザ・ゼロ)
条件が起こる前に反応を示しているのではないか
と想像する。

ひらたく言えば
ベルを鳴らせばよだれが出てくるように条件づけられた犬が
ベルが鳴る前によだれが出てくるようになる
ってこと。

予知能力
っていうのとは微妙かつ決定的に違う。

統計学者のロジャー・メキシコは
ポアソン分布を根拠に
V2ロケットの着弾位置を予測することは不可能である
と考える。

さあ
これらの思惑に
また怪しげな面々が絡み合って
この物語がどのように展開していくのか
楽しみではあるが
正直なところ修行のような読書でもあるので
第2部の感想はいつごろ書けるかな
そもそも第2部も読み通せるかな
っていうのを
いまのところ予測することは不可能である。





--重力の虹 第1部 ビヨンド・ザ・ゼロ--
トマス・ピンチョン
訳 佐藤良明