ああおもしろかったー。
こういうばっちりエンターテインメントっていう小説はたまに読むとすごくたのしい。
読ませる読ませる。
阿部和重さんの小説はこれまでにも何冊か読んでいるのだが、伊坂幸太郎さんの小説は実はまだ何も読んでいない。
おもしろそうなのはわかってるんだけど、だからこそって感じであとまわし、な感じの天邪鬼。
自意識をこじらせちゃってるぼくなので仕方がない。
で、伊坂さんの文章はどんなものなのかわからないのだが、阿部さんの文章は知っているというぼくにとっては、これって全然阿部さんっぽいやん、って感じだった。
そもそもふたりでどうやって小説を書くのだろう。
調べたらどこかに載っているんだろうけど、あえて調べずに想像する。
ひとりはアイデア担当でひとりは文章担当とか、あるいは一緒にアイデアを出し合ってまずひとりが書いたものをもうひとりが修正するとか、かな。
まあそういう創作の裏話への興味は別にして、エンターテインメント小説としては非常に優れていると思う。
何を書いてもネタバレになりそうだし、こういう作品はネタが命でもあるので、どこがどうおもしろくて優れているのか、っていうのは書きにくいのだが、これを読んでいるあいだは、早く仕事を片付けて家に帰って続きを読みたい、って思いながらしばらく過ごしていた、っていえばなんとなくおもしろさが伝わるだろうか。
いやまあぼくが知らないだけで、エンターテインメントの小説にはいくらでもこういうのはあるのかもしれないのだが。
ぼくなんかからすると、きっとこの作品は映画化されるんじゃないかなと思うし、映画化されたらどういうキャスティングかななんて考えながら読んでいたりもした。
結局、誰って思い浮かばなかったんだけど。
主人公たちもいいけど、追手のむちゃくちゃぶりが爽快だった。
500ページ越えの長編ながら、それがまたボリュームたっぷりで、存分にたのしませてもらえたのである。
――キャプテンサンダーボルト――
阿部和重
伊坂幸太郎