観た。
SONGS。
石川さゆり 椎名林檎を歌う ~花の京都 芸の心に触れる~
椎名林檎嬢は天才で大好きだけれど、石川さゆり姐さんの前ではまるで子どものようだった。
身のこなしのひとつひとつ、発することばのひとつひとつが、まさに格違い。
さゆり姐さんはおそらくかなりの小柄だと思うが、その発するオーラたるや、ちょっと日本の女性歌手のなかでは次元が違うのではないか。
で、おそらくそれは、林檎嬢と並ぶことによって、より鮮明になるのではないか。
だいたい林檎嬢と組んだひとは、林檎嬢のオーラに呑まれてしまうことになるのだが、林檎嬢を完全に包み込めるのは、さゆり姐さんのほかには思いあたらない。
強いていえば、美空ひばりさんくらいか。
輪違屋さんの入り口からのさゆり姐さんの一挙手一投足は美麗そのものだったなあ。
そして、如月太夫さんの的確な表現力。
さすがに宮様や公家さんの戯れ相手としておつとめされるだけのことはある。
経験と教養と人間への洞察の賜物なのであろうな。
曲の解釈が本質を鋭く突いていた。
林檎嬢はきっとこの経験により、女として、音楽をなりわいとするものとして、さらなる高みがあることを意識せずにはいられなくなったであろう。
30年後の林檎嬢がますます愉しみになる。
いい女は、おもいやりの深さと度胸の据わり方が格別である。
まあ、それに付き合う男には、とてつもない器の大きさを求められそうではあるが。