本の話WEBというサイトで川上未映子さんの連載がスタートした。
――できたら、こうなった! 妊娠から出産までに経験したこと、感じる&考えたこと。すべての女性&男性におくる体験記。
これまでにも未映子さんによって赤ちゃんに関する作品(詩とか小説とか)は書かれているけれども、エッセイは初めてのような気がする。
書いて欲しかったような、書いて欲しくなかったような。
でも、せっかく書いてくれたのだから、ぼくは読もうと思う。
正直なところ、ぼくは作家やタレントが、自分の子育てについてあれこれ発表することは好きではない。
というのも、なんとなく、こどものプライバシーが売られているような気がしてしまうからだ。
かわいい我が子のことを発表したくなる親心もわかる。
あるいは、こどものことを書くことによって親が書く文章(なり漫画なり)が売れてこどもも食べていけるのだから、一蓮托生だ、ってことなのかもしれない。
まあ、未映子さんの場合、それをしなくても作品は売れるのだろうけど。
それでもなんだかね、こどもの意志とは無関係に、世間がその子の成長のことを知っている、っていうのは、かわいそうな気がするんだよね。
ただ、物書きとしては、やっぱりこの経験を文章に残さずにはいられないのかもしれない、とも思う。
まあ、仕方がないことなのかも。
ぼくの好みとしては、実際の経験をきっかけにして、より大胆な創作がおこなわれるっていうのが興味深いんだけどね。
未映子さんのそういう詩や小説が好き。
といいつつ、未映子さんが書くエッセイも好きなので、やっぱり読んじゃうんだけどね。
で、読んでみたら、まあ、連載の第1回に過ぎないわけだけど、ねっちょりしてなくて、あっけらかんとしたところが未映子さんらしい感じ。
まあ、ちょっと登場させられるあべちゃんは気の毒なような気もするけど。
何回きいてもよくわからない排卵日とか基礎体温とかの話。
着床痛とか初めて聴いた。
近ごろは、こどもは授かるもの、っていう言い回しが定着しているけれども、こどもをつくろう! とか、おったなあ! とか、無造作ともいえるその表現がむしろ新鮮。
さてさて、これからどういう展開をしていくのだろうかね。
やっぱり作家の書く文章なので、ほんとうの経験のようにみせかけて、ところどころフィクションが混じるに違いないけども。
――きみは赤ちゃん 第1回 陽性反応――
川上未映子