CDで初めて聴いたとき、いつもの林檎さんの楽曲に比べて、詞が立っているな、と感じた。
林檎さんの楽曲は、独特の詞でありながらメロディーと分かちがたく融合していて、そのフィット感がたまらなく心地よいのだが、この曲はそれらとはどこか違う印象を持った。
調べてみると、作編曲は林檎さんだが、作詞は渡辺あやさんとなっている。
渡辺あやさんとはどなた?
さらに調べてみると、林檎さんが主題歌を担当したNHK朝の連続テレビ小説、カーネーションの脚本を担当していたのが渡辺あやさんとのこと。
へえー。
もちろんカーネーションの楽曲は知っていたのだが、残念ながらドラマの方はついぞ拝見することができなかったのである。
でもそう言われてみるとなんだか納得。
脚本家さんが書いた詞に、林檎さんが曲を合わせたという体なんですね。
ある日、林檎さんの小学4年生の姪っ子さんが口ずさんでいた、怪獣のバラードを聴いて何かがひらめき、この楽曲が仕上がったそうです。
怪獣のバラードも知りませんでしたが、これを機に聴いてみました。
おとなにはちょっと気恥ずかしいくらいの純粋でダイナミックな歌ですが、小学生くらいの子が歌っているのを聴いていると、えもいわれぬ明るさや希望が湧いてきそうですよね。
林檎さんのこの孤独のあかつきは、そういう純粋な明るさや希望に、おとなの味をブレンドしたような風情になっていて、しかもポップでノリもよい感じです。
NHK―Eテレの、SWITCHインタビュー 達人たちのテーマ曲というのにふさわしく、渡辺あやさんと林檎さんのそれぞれの持ち味があたらしい作品世界を生み出したということでしょう。
――孤独のあかつき――
椎名林檎