応援する男 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

今日、会社で取引先に迷惑をかけた。

あとで上司にかなり絞られた。

けれども上司に叱られたことよりも自分の不甲斐なさを恥じた。

ひどく落ち込んで家に帰る。

画面の中のメッシはゴールのチャンスを2回も失っていた。


今日、昼休みに以前から気になっていた経理のマリコさんに話しかける機会があった。

あたりさわりのない世間話だったけれど午後の仕事がなんだか気持ちよくこなせた。

いつもよりもすこしうきうきしながら家に帰る。

画面の中のメッシは華麗なドリブルで相手ディフェンダーを3人もかわしゴールを決めた。


今日、3か月がかりで取り組んでいた計画がようやく社内で承認を得た。

これでどうにか目標に向けてスタートできる。

自分へのご褒美でちょっとぜいたくなビールを買って家に帰る。

ビールを飲みながら観た画面の中のメッシはゴールを決めても決めなくてもただプレーしている姿が美しいと思った。


今日、会社の帰り際に同期のケイタに誘われて一緒に晩メシを食べに行った。

ありきたりの居酒屋でケイタは仕事の悩みをぼくに打ち明けた。

どうにも今の部署のメンバーとウマが合わないらしい。

それはメンバーのせいなのか仕事の内容のせいなのかと一緒に話していたら、どうやらメンバーというよりも仕事の内容のせいのようだった。

仕事には波がある、ぼくにもそんな経験がある。

なんだかおまえと話していたら少し前向きな気分になってきたよ、とケイタは言ってくれた。

そう、だれかに話すだけでもやもやが晴れるときだってある、そんなふうにしみじみ考えながら家に帰る。

メッシは後半途中に相手プレーヤーとの激しい接触でなんどもつまずきそうになりながらも、どうにかボールをキープしながらあきらめずに前に向かって進んでいた。

それを観ているとなぜだかじわりと画面が涙でにじむのだった。


ぼくはメッシの試合を観るのが好きだ。

勝敗の行方も気になるけれどもメッシの動きの美しさとひた向きな姿勢に心が惹かれる。

もちろんゴールが決まればガッツポーズをしたくもなる。

ところでぼくはメッシを応援しているといえるのだろうか。

いやメッシのプレーこそがぼくを応援してくれているのかもしれない。

おれも一生懸命サッカーをプレーするからきみも自分のフィールドでベストを尽くせ、って。