直観力。
普段はあんまりこういう本は手にとりません。
書いているのが興味のあるひとだとときどきふらっと買ってしまうことはあります。
これまでには
姜尚中さんの悩む力
松井秀喜さんの不動心
中村俊介さんの察知力
を読んだくらいかな。
ビジネス書は以前は読んだこともありますがいまはまったく読みません。
あんまりぼくの目から鱗を落としてくれる本はなかったからです。
出会いが悪かったのかもしれませんが。
その点スポーツ選手などビジネス以外の分野で活躍している人の本はたまに読む気になります。
まったく違う分野で生きているのに共通していることなんかがあったりすると、それはどの世界でも普遍的なことなのではないかという気持ちになれるからです。
今回たまたま立ち寄った書店で平積みされていたこの本に興味が向きました。
一度は売り場をスルーしたのですが、また戻って購入しました。
羽生善治さん、好きなんですよね。
昔は将棋一筋の浮世離れした人かなと思っていましたが、以前、爆笑問題のニッポンの教養 という番組で話していた内容や、プロフェッショナル仕事の流儀という番組でライバルの森内俊之さんと名人戦をたたかっていた様子をみてから、羽生さんの生き方に興味がわきました。
普段は物静かなのに勝負に向かうとにわかに集中力が高まるという勝負師の生き方に惹かれます。
そんな羽生さんの本を読むのは初めてでしたが、書いてある内容がぼく自身がこれまでの経験を通して感じてきたことと驚くほどよく似ているのでびっくりしました。
もちろんランクやグレードや器の大きさがまったく異なるのでおこがましい話なのですが、ほんとうにうんうんとよくわかるのです。
タイトルは直観力となっていますがそればかりではなくて、羽生さんの仕事への取り組み方や世界の解釈の仕方などなどがひろく書かれています。
羽生さんも読書と散歩が好きだということでここにも親近感がわきます。
こどものころの話や駆け出しのころの話、今の話など軽く半生のことを振り返っているようにも思えます。
それから最近の肩の力の抜け方。
まことに勝手ながら、なんとなくぼくの分身のような気にもなってしまいました。
ぜんぜん違うんですけどね。
けれどもぼくがこれまで経験してきたことや考えてきたことは間違っていないと裏打ちしてくれているかのようなそんな気にもさせてくれる本でした。
終わりのほうに書いてある将棋の成り立ちに関する想像もへえーっと思える内容ですよ。
――直観力――
羽生善治