住の江の 岸に寄る波 よるさへや
夢の通ひ路 人目よくらむ
藤原敏行朝臣
引き続き小倉百人一首。
和歌の世界では駄洒落は掛詞として格調高い。
そもそも上質な駄洒落は高度な言葉遊びなのである。
(なんとなく言い訳がましくつぶやいてみる。)
ここでいう住の江とは住吉大社のすぐ西で
かつては海岸であったそうだが
今はもうすっかり遠く西の方まで海はなく
海岸線ってなんのこと?
ってな状況ではあるのだが
1000年前にはこんな歌も歌われていたのだなあ。
恋は今も昔もひとを悩ませひとを焦がれさせる。
男が想像した女の気持ち。
はたして女の気持ちがこんなにロマンチックなものだったかどうかは疑わしいものの
男が夢想する忍ぶ恋の歌は今では流行らないかもしれないね。
今の男たちにとってはノスタルジーの世界。
あるいは現代的には待つのが男だったりもするのである。
夢のなかでさえも忍び待つ夜。
寄せる波。
人目を避けるあなた。