口語訳 古事記 〔完全版〕 メモ(神代篇 其の七) | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

其の六 地上に降りた天つ神 - 天孫の日向三代 はこちら


其の七 東へ向かうイハレビコ - 征服する英雄


カムヤマトイハレビコ(神武)と

兄のイツセは

平らかにまつりごとを治めようと

日向の高千穂の宮から

東にむかう。


豊の国の宇沙

筑紫の岡田

安芸の国のたけり

吉備の高島

と進む。


これが征服の旅か。


途中

早吸の門で出会った国つ神が

海の道に詳しいというので

お供に仕えさせ

サヲネツヒコと名づける。


浪速の渡りを経て

白肩の津に泊まっていると

登美に住むナガスネビコ(トミビコ)が

挑んできた。


トミビコとの戦いで

イツセは痛手を負う。


南に廻りこんだ血沼の海で

傷ついた手を洗い清めるが

紀の国の男の水門に到りついたとき

イツセは死んでしまう。


兄に死なれた

カムヤマトイハレビコは

引き続き東進する。


熊野の村では

カムヤマトイハレビコとその供のものたちは

病に倒れ臥したが

アマテラス、タカギ、タケミカヅチの神の

夢の教えに従ったタカクラジによりもたらされた

太刀サジフツでもって回復する。


さらにタカギの神に遣わされた

ヤタガラス

の後ろに着いていくと

吉野の河の河上に到りつく。


山を越えると

宇陀に出た。


宇陀では

エウカシの策略により危機に陥りかけるが

エウカシの弟のオトウカシの進言により

危機を回避する。


忍坂では

ヤソタケルどもを倒す。


戦の折には

イハレビコは歌をうたった。


歌の力というのは

洗練されたことばの霊力のようなものだろうか。


こうしてイハレビコは

荒ぶる神どもを従わせ

従わないものどもを追い払って

畝火のかしはらの宮にて

天の下を治めることになった。


苦しい戦いが終わると

イハレビコは妻を求めた。


三輪山のオホモノヌシと

三島のヤダタラヒメの間に生まれた

ホトタタライススキヒメ

またの名を

ヒメタタライスケヨリヒメ。


イスケヨリヒメと

イハレビコが結ばれるための

謎かけの歌と返し歌のやりとり。


いにしえのつまごいには

文学的センスが必要だ。


イハレビコと

イスケヨリヒメの間に生まれたのが

ヒコヤヰ

カムヤヰミミ

カムヌナカハミミ

の三柱。


イハレビコが死んでから

ヒコヤヰたちの腹違いの兄である

タギシミミが

王位を奪おうと企んでいることを知った

イスケヨリヒメは

ヒコヤヰたちに歌でその陰謀を知らせる。


タギシミミ討伐に向かうが

カムヤヰミミは手足が震えて失敗。


弟のカムヌナカハミミが仕留める。


勇ましい弟の行為により

カムヌナカハミミは

タケヌナカハミミに改称。


そして

タケヌナカハミミが

カムヤマトイハレビコの王位を継承。


三浦祐之さんの解釈によれば

ここまでが神代の物語。


古事記自体はカムヤマトイハレビコの誕生から

人代篇に入るらしい。


古事記にももちろんさまざまな解釈があるのだろうが

ぼくは三浦祐之さんの解釈は結構好きだ。


イデオロギーを抜きにしたロマンがある。


天つ神と国つ神の対立とか

カムヤマトイハレビコ(神武)の

天下平定物語とか

神とはいいながら

現実世界で起こったことの

大胆な神話化ではないか

と想像したくもなる。


古老の語りを配しているところも

読みやすくてありがたい。


さて人代篇もたのしいかな。


ヤマトタケルもまだ登場していないからね。



人代篇 其の一 初国知らしし大君 - 夢に教える神

に続く





-口語訳 古事記 〔完全版〕-

訳・注釈 三浦祐之