近頃
上町台地に萌えている。
なんでもかんでも萌え萌えいうな
って感じだが
今のところこのニュアンスを伝えることばが
ほかに思い浮かばないので
萌えと言っておく。
つまりは気持ちが爽快になるくらい
好きだということだ。
年末年始の休みも5日目。
上町台地散歩に出かけることにした。
地下鉄御堂筋線の動物園前駅で下車し
スパワールドや天王寺動物園を左手に眺めながら
あびこ筋を東に向かって歩く。
スパワールドで世界の大浴場を堪能し
新世界で串かつに舌鼓を打ちたくなるが
そんなことに手を出すと
それだけで1日が終わってしまうので
なんとか誘惑に打ち克つ。
天王寺駅を越えて玉造筋を西に歩き
南河堀の交差点を左折し
北河堀の交差点まで北上する。
天王寺駅では
住吉大社へ向かうちんちん電車に乗るための列が
地下まで続いていてびっくりした。
みなさん
並んでまで初詣をしたいのね。
北河堀の交差点から北西の方角に折れて進むと
四天王寺が見えてくる。
さすがにここも人が多い。
目的は初詣ではないので
境内の横を通り過ぎ
四天王寺前の交差点で谷町筋にぶつかる。
さすがに上町台地。
このあたりがここらへんでは最も高い位置にあるようで
四天王寺前の交差点から西の方角を望むと
通天閣がしっかりと見える。
四天王寺と通天閣。
おつな組み合わせである。
なおも西進すると一心寺が見えてきた。
実は一心寺の前を通るのはこれがはじめて。
一心寺も多くのひとで賑わっていた。
公園北口の交差点を右折し
松屋町筋に入る。
ここから北上。
いよいよ本日の最大の目的地である
天王寺七坂エリアに突入。
上町台地の西側の坂で
この坂を下っていくと
縄文時代には瀬戸内海だったらしい。
ちなみに上町台地の東側は河内湾。
つまりアースダイバー的にいえば
現在の大阪市内の地形のうち
上町台地は洪積台地
台地の東西は沖積平野
ということだ。
なにごとも境目にドラマがある。
洪積台地と沖積平野の境目である
天王寺七坂のエリアもドラマチックなのである。
このあたりは寺町になっていて
お寺が集合しているエリア。
まちの名前も素敵。
南から順番に
逢坂
伶人町
夕陽丘町
生玉寺町
生玉町
下寺町。
そして坂の名前も
南から順番に
逢坂
天神坂
清水坂
愛染坂
口縄坂
源聖寺坂
真言坂。
なかでもいちばんのお目当ては
昨年はじめて読んでお気に入りの作品となった
織田作之助さんの
木の都
に登場する
口縄坂だ。
口縄とは大阪の古いことばで蛇を意味するとのこと。
蛇のような坂ってことね。
ああこれが木の都のあの坂なのね
と思うと気持ちはタイムスリップ。
幼き日の主人公の顔が
夕陽を浴びたようにぱっとあかくなった
口縄坂中腹の夕陽丘女学校は
大阪府立夕陽丘高校と改称して近くの北山町に移っていて
今はもうここに残っていないのが少し口惜しくもある。
7つの坂それぞれに色気があって
やっぱり萌え萌えだ。
ながらく大阪で暮らしてきたが
こんなに風情のあるまちなみがあることを知らなかったので
新鮮な驚きと喜びに包まれて
テンションがあがった。
ここに住みたいと思う。
お寺の集まったエリアなのに
ところどころラブ★ホテルが建っているのも
不思議な光景。
お寺・墓地・ラブホ。
中沢新一先生ばりに
これらの集まる意味を想像してしまう。
単に都市計画上の用途地区の設定で
ラブホが建設しやすいだけかもしれないが。
生国魂神社にも
人がたくさん並んで参詣していた。
このブラ★タカシの途中
頭の中のイメージで
現在の建築物や道路のアスファルトなどを
はぎとってみた。
まっすぐな道路すらも
よくみると起伏に富んでいる。
都市も一皮向けば何のことはない。
縄文時代となんら変わらず
人間は
自然の地形のうえにへばりついて
暮らしているのである。
都市の衣服を脱がしてみると
素朴な自然の肉体が露わになるのである。