こちらあみ子 | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

切ない。

もどかしい。

胸がざわつく。


だめな方

だめな方に

あみ子の行動が

流れていってしまう。


あみ子には

なんらの悪意もないのに。


あみ子目線で語られるのが新鮮。


いわゆる普通の人同士の

エゴとエゴのぶつかり合いや

ボタンの掛け違えによる

不幸の連鎖ではないけれど

あみ子はやっぱり今の日本社会では

枠外の人間なのでしょう。


あみ子に関わる人が

どんどん不幸な方向に

向かってしまっています。


こういう物語は

そもそも何のために存在しているのでしょう。


読者を

励ますのでもなく

慰めるのでもなく

楽しませるのでもなく。


それに

何の解決策も示しません。


物語としてよくできているのかどうかも

分かりません。


けれども

確かにぼくのこころの

普段は気づかないふりをしている

不安定な部分に触れてくる

そんな内容でした。


人間がもっと寛容であれば

あみ子にも居場所があるのでしょうか。


仙台の高校に野球で進む同級生のような

寛容さはぼくにはありません。


表紙の土屋仁応さんの彫刻

麒麟

のように

目を捉えて離さない美しさとともに

何者も決して理解できないような拒絶感

を感じる作品でした。




-こちらあみ子-

今村夏子