あらためて
1年間の読書を回顧してみると
冊数は少ないけれども
内容はバラエティに富み
充実していたと自画自賛しておきます。
今年最高の1冊
なんて簡単には選べませんので
特に印象に残った本について
記します。
★特に印象に残っている主人公は
サン=テグジュペリさんの
夜間飛行
に登場する
郵便飛行会社の支配人
リヴィエール。
渋いです。
仕事に対する深い愛情ゆえに
物凄くシビアで厳しいです。
ぼくなんて誰からも悪く思われたくないので
ついつい甘い妥協を認めてしまいますが
リヴィエールは馴れ合いを許しません。
だから苦悩も多いですが
それでもやり方は変えません。
その徹底ぶりが印象に残っていて
しばしば
こういうときリヴィエールはどうするだろうか
なんて想像したりします。
★何故か印象に残っている脇役は
川上未映子さんの
ヘヴン
の主人公の少年の母親。
厳しい物語の中にあって
淡々としたなかに溢れている
母性というかやさしさみたいなものが
気に入っています。
★色々と考える材料を提供してくれた作品は
マイケル・サンデルさんの
これからの「正義」の話をしよう
いまを生き延びるための哲学。
正しさに結論なんてありませんが
粘り強い対話の大切さを
再認識させてもらいました。
今年は「正義」と「悪」についての
議論が目立ったように思いますが
「正義」と「悪」は
光のあたり方が違うだけで
同じものだと思います。
★最も美しい物語は
坂口安吾さんの
夜長姫と耳男
と
桜の森の満開の下。
愛おしくなるような
美意識
が詰まっていて
もっと早く読んでおきたかった
そんな作品です。
★最も甘い物語は
有川浩さんの
阪急電車。
初めての有川浩さん作品でしたが
噂にたがわぬ「ベタ甘」で
読みながら甘酸っぱい思い出が
噴出してきました。
今年は今津線でロケも行われ
来年映画が公開だそうで
それも観に行きたいです。
ぼく以外には誰の役にも立たないような
そんな感想でしたが
読書なんて
極めて個人的な経験ですもんね。
そういえば
今年は
国民読書年
だったんですよね。
来年ももっとステキな
本のまほう
にかけられますように。