闇の子供たち | (本好きな)かめのあゆみ

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かしこいカシオペイアになってモモを手助けしたい。

サザン・オール・スターズが好きな

同僚と昼食中

桑田佳佑さんの

現代東京奇譚

の話になり

映画の

闇の子供たち

の主題歌だったよね

というところから薦められた1冊。


映画が話題になっていたときに

観たいと思ったものの

あまりのテーマの深刻さゆえに

結局

足が向かず

見逃していましたが

同僚は映画を観たうえで

原作はその何倍も辛い

と言いながら貸してくれました。


タイの

貧しい山岳地帯や

紛争による難民や

ストリートチルドレンなどの

10歳にも満たない子供たちが

親から売られたり

さらわれたりして

マフィアの手に渡り

売春宿で

欧米やアラブ、日本の

幼児性愛者たちの性奴隷にされている

様子は目を背けたくなる内容。


子供たちの置かれている状況は

悲惨この上なく

もはや人間として扱われていません。


人間は人間に対して

かくも非道なことができるのかと

空恐ろしくなります。


さらに日本の子供の命を守るために

生きているタイの子供を殺害して

臓器移植をしようという発想。


日本の子供の母親は

我が子の命を救うため

その心臓がどのように

手に入るのかということには

うすうす気づいていながら

目を背けます。


そして腐敗の根絶を求めて

立ち上がった人々に対する

暴力の圧力。


最後のデモの展開などは

びっくりしました。


これからニュースを見る目が

変わりそうです。


世の中はいろいろな立場の

いろいろな勢力が

目に見えないところで

激しく争っています。


知らない人には存在しないのと同じですが

知らなくても

目をつぶっていても

耳をふさいでいても

やっぱり世界にはこういう世界が

存在しているのです。


無論

これは小説ですので

鵜呑みをするのは

野暮というものですが

世界の一面は

確実に切り取っていると思います。


貧困は即ち悲劇というわけではありませんが

悲劇になりやすい要素ではあります。

その貧困も誰かの手によって

敢えてつくりだされているのではないか

という疑念がぬぐえません。


なんとなく日本のこの世界を

普通と思っている人には

きつい作品です。



-闇の子供たち-

梁石日(ヤン・ソギル)