2010年は
中島敦 生誕101年です。
(つまり去年が100年です。)
しかも寅年なので
今年は
山月記イヤー
といってもいいかもしれません。
(こじつけ)
自分の能力が
自分が普段思っているほどには
たいしたことない
って感じたときに読みたくなります。
文庫本でわずか9ページあまりのなかに
内容が凝縮されています。
口ずさみたくなる名文章も多数です。
自分がたいした人間ではないことが
はっきりと分かるのが恐くて
敢えてその道に真剣に取り組まず
それでも自分はやっぱり
なかなかたいした人間であると
期待しているがために
凡人として
日々の生活に対して真摯な態度で
暮らしていく覚悟もできない。
自分はやればできるはずなんだが
今はその時ではないのでやらないだけだ
なんていいながら。
ぼくもしばしば
自分のつまらないプライドを傷つけないように
何かをやらない理由ばかりを
考えているときがあります。
おれなんてたいしたことない
と認めたうえで
他人の助言や批評に揉まれながら
前を向いて進んでいく。
そんな素朴な力強さに憧れつつも
それができない自分を憐れむ。
そんな李徴と一緒に嘆くことで
(葛藤のレベルはかなり違えども)
その気持ち、分かるよー
と案外、慰められたりします。
文章の格調が高いので
読んでると賢い気分にもなれますし。
-山月記-
中島敦