嘉右衛門は、獄中で易経と出会いました。
易経は、2~3度読んだだけでは
内容を理解することが出来ない
とても難解な書です。
それを日々命の危機にさらされている中で
嘉右衛門は読破し、易を修得したのです。
また、嘉右衛門が捕えられていた当時は、
幕末から明治にかけての混乱期でした。
ですから、明治になり日本の近代化に貢献した人の中に、
何かしらの罪を着せられ投獄された人が多々いました。
こうした人達と意を通じることで、
嘉右衛門は後の人生の大きな礎となる
人脈を築いていったのです。
人生に対する確固とした信念があったからこそ、
嘉右衛門はこれらのことが出来たのだと思います。
今日まで、人生の窮地に陥ったり死に直面したりしたとき、
それを転換期として、その後の人生で
社会に大きな貢献をした人が多々います。
こうした人々は、皆確固とした信念や志を持っていたのではないでしょうか。
それ故、何かしらの救いの手が差し伸べられ、
窮地を脱することが出来たように思います。
嘉右衛門も脱獄を試みた暴徒から命を狙われた際、
とっさに天井からつるした籠に飛び乗り窮地を脱することが出来ました。
籠に身を隠すことは、事前に易で示唆を受けていたのです。
死に直面した嘉右衛門にも、救いの手が差し伸べられていたのでしょう。