🔷「可奈が生まれて」の中の「待望の赤ちゃん誕生」を掲載します。🔷
『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』
(ハードカバー 四六版 モノクロ264ページ)
2016年1月25日 発行
著者 藤巻 隆
発行所 ブイツーソリューション
✍『由美子のいなくなった夏 亡き最愛の妻への想い』(第36回)✍
「可奈が生まれて」の中の「待望の赤ちゃん誕生」を掲載します。
可奈が生まれて(1)
待望の赤ちゃん誕生
可奈が生まれたのは平成六年六月五日でした。「平成六年六月六日でなくてよかったね」と私たち夫婦は冗談を言い、笑ったものです。六六六と六のゾロ目は不吉な数字だそうですから。
安産でした。破水していたため、タクシーで病院へ急行しました。私は病室の外で待っていました。一時間ほどすると看護師さんが「女の子でした」と言うと、私に、タオルにくるまれた赤ちゃんを見せてくれました。周囲が暗かったため、顔をよく見ることができませんでした。それでも、「丈夫そうな赤ちゃんで良かった」、と胸をなでおろしました。
可奈の誕生アルバムに私は願い込めて、「他人(ひと)に優しく、思いやりのある人間になって欲しい」と記(しる)しました。可奈は私の願いを叶えてくれているようです。
近所の人たちによく訊かれたそうです。
「可奈ちゃんのお父さんは外国人ですか?」
その理由は、生後しばらくの間、可奈の髪の色が金髪に見えたからです。徐々に茶色に変化していきましたが。鈴木・藤巻両家で、可奈の誕生をたいそう喜んでもらえました。
私がカメラを向けると、可奈は私に向かって、「ほふく前進」で元気よく近づいてきました。「可愛いな」と心の底から思いました。「可愛い子を産んでくれてありがとう」と由美子に言いました。「お産がとても楽だった」と由美子は言っていました。
可奈は病気に罹(かか)ることはなく、定期検診でも全く問題はありませんでした。
(PP.88-89)
➳ 編集後記
第36回は「可奈が生まれて」の中の「待望の赤ちゃん誕生」を書きました。
鈴木・藤巻両家の両親はどちらも高齢になっていたので、孫の顔を早く見たかったのです。
私は当時としては結婚が遅く、36歳になる直前でした。由美子は28歳でした。
結婚して3年後に待望の赤ちゃん誕生となりました。
可奈が生まれてから、いろいろなことが続いて起きました。その話については次回以降にお伝えします。