一方、一瞬で失ってしまうものでもある。
今回は、ブランド力は、あるきっかけで
簡単に失われるということをお話します。
一流と見られていた企業の「偽装」が、表面化
しました。
まず、先にはっきりさせておくべきことは、食品
偽装表示ではなく、食品偽装であることです。
表示の仕方ではなく、現実にはるかに安価な代替品
を使っていたことです。
阪急阪神ホテルで問題が発覚した、10月下旬以降、
食品の偽装「表示」について発表が相次いでいます。
阪急阪神ホテルの社長が、「偽装でなく、誤表示」
と記者会見で発言したのは、詭弁でしかありません。
名門ホテルでは、ザ・リッツ・カールトン大阪、
ホテルオークラ東京、JALホテルズなど。
百貨店では、高島屋、三越伊勢丹ホールディングス、
大丸松坂屋百貨店、そごう・西武。
外食産業では、コメダ珈琲店、不二家。
どの企業も、誰もが一度は見たり聞いたりしたこと
がある、有名企業ばかりです。
1社が発表すると、同様なことをしてきた他社も
公表に踏み切るケースが相次ぎました。
連日、記者会見を開いて、トップが平謝りするシーン
がテレビ映像に流れました。
私は、これらは氷山の一角だと思っています。
「あそこがやっているのだから、うちがやっても
大丈夫だ」
という意識があったのでしょうか?
顧客は、それらの企業のブランドを信頼して、
料理をオーダーしていたわけです。
プロでなければ、見た目では判断できないと
思いますし、まして味覚で偽物と分かる人は
ほとんどいないでしょう。
ソースの味付けなどで、ごまかすことができる
からです。
仮に、「ちょっと見た目や、味が違うな」と
感じたとしても、「レストランで変なものは
出さないだろう」と思うはずです。
「ボタンエビがアルゼンチンアカエビ」だった
と言われても、アルゼンチンアカエビって何?
という人が多いと思います。私も知りません。
「フランス産の栗の代わりに韓国産の栗を
使ったモンブラン」
ごまかしにも、ほどがあります。
他国を批判する資格はありません。
「フカヒレスープの中身が春雨や湯葉などを
使った人工フカヒレ」
以前から、中国料理店でこうした食材を使って
いたことは知られていました。
まさか、一流ホテルのレストランでも使われて
いたことを知って、絶句したと同時に、怒りが
こみ上げてきた人が、いるかもしれません。
これらは、確信犯ですね。
「羊頭狗肉」という言葉があります。
店頭の看板には「羊頭(羊の頭)」を掲げ、実際には
「狗肉(犬の肉)」を売る意味が転じて、実際には
粗悪な品を売るたとえです。
まさに、食品偽装です。
大昔からなくならないのですね。
食品偽装「問題」と言っていますが、食品偽装「事件」
です。騙してお金を受け取っているからです。
錯誤ではありません。過失でもありません。
未必の故意でもありません。故意です。
知っていてやったのですから。
プロであるシェフが、こうした代替品の食材を使って、
顧客に提供して平気でいられるのは、プロの誇りを
失ってしまったのでしょうか?
少しも心の痛みを感じなかったとしたら、救いようが
ありません。
それとも経営者から厳しいことを言われて、コストを
削り、利益を出すことに腐心してきた結果なのでしょうか?
もし、それが事実なら料理を出す人が、お客様の方ではなく、
経営者の方を見ていたことになります。見る方向が間違って
います。
顧客に対する裏切り行為です。
業界関係者には猛省して欲しいですね。
ただ、一連の不祥事を報道している新聞社、テレビ局、
週刊誌や月刊誌の出版社などのマスコミも、あまり
偉そうなことは言えません。
「やらせ」や「でっち上げ」の過去が何度もあるから
です。
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のは世の常とはいえ、
いつでも、「これでいいのか」という気持ちを、
忘れないようにしたいものです。
今後も、残念ながら、こうした偽装問題、いえ偽装事件は
なくならない、と思います。
「なくそう」という強い意思を持って、取り組む姿勢を
全社で続けていくしかありません。
こうした偽装事件は、昨日今日に起こったことではなく、
もう何年も前から行われてきたのは、根が深いと思わ
ざるを得ません。
ブランド力を考える上で、ブランド力向上を目指すと
同時に、ブランドの毀損にも注意を払うことは
欠かせない、と改めて思いました。
改めてブランドとは何か、を考えてみました。
ここで言うブランドは、コーポレート・ブランドのこと
です。
ブランドには、以下の4つの条件がある、と考えました。
1 歴史と伝統がある
2 伝説となるほどのストーリーがある
3 安心感・信頼性がある
そして、もう一つ大切なことがあります。
それは――
4 お客様から尊敬される存在である
私は、この「尊敬される存在」にまで到達して、
真のブランドだ、と思っています。
お客様から尊敬される存在であるという自覚が喪失して
いたと、言わざるを得ません。
今回の一連の事件で、安心感・信頼性と、尊敬を失った、
と思います。
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