⑥色の名称 | 宝塚発達心理ラボ <臨床心理士たちの研究会> 情報提供・発達支援・アセスメント・教材研究・不登校・ひきこもり支援

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V40色の名称 3/4   


「赤と青を見分ける課題」と「赤をください」は

全く別のレベル
 


色の学習の授業で,

しばしばやってしまうこと間違いに,

 


色を見分ける課題(赤と青を見分けるような課題)と,

色を指定して持ってくる課題(「赤をください」のような課題)を

同列に扱ってしまうことがあります。

 


赤と青を見分ける課題は,

触覚と運動で解決できる課題です。

 


対して,「赤をください」は,

言語に依存した課題になります。


 


もっと言えばそれぞれの課題では

子どもが使っている脳の部分が違います。 

 


授業において,

その課題が触覚に依存するものか,

運動で解決するレベルなのか,

それとも言語に依存する課題なのかを

見極めていくことはとても大事です。

 


例えば,言語-社会領域がとても低い子どもの場合,

見てわかる課題は非常に易しく感じているのに,

ことばを聞き分けなければならない課題は

とても難しく感じています。

 


色分けはできる子どもでも,

「赤をください」ができないのは,
その課題の中心がことばの理解になるからです。 


 


V40 色の名称3/4 とP8182 形の弁別Ⅰ 

形の学習・色の学習どっちが先?


 


形の学習,色の学習,

どちらを先にすればいいのでしょう。

 


定型発達児を対象とした実験で,1歳過ぎの子どもに

球(赤・青)と立方体(赤・青)の計4個を用意したら,色に関わりなく球に手を出す方が多いという結果でした。

 


触覚は視覚より先に発達する感覚なので

原則から言うと色より形の学習が先かなと思います。

 


新版K式でも、色課題(V40 色の名称3/4)より,

形課題(P8182 形の弁別Ⅰ)のほうが

発達の順序で言えば前にあります。 


けれども特別支援学校では,

子どもの興味・関心や実態がそれぞれ違います。 


色への反応がとても鋭いお子さんもいますし,

色はよくわかっているのに,

形の弁別学習はなかなか進まない子どももいます。 


だから

発達の原則を頭に入れつつも,

教材選びは一人一人の子どもの実態に
合わせていくのが得策

かと思います。