私がはじめて“草原”を見たのは、数十年前、小さな文具店にあったポストカードだった。そこに描かれていたイラストの構図はシンプルで、下1/4程に緑の草原、上には晴れわたる青空が描かれていた。あるいは、草原の真ん中にぽつんと一本の木が描かれていたりした。ポストカードやレターセット等があって、そうした文具は女子が「可愛い」と言って手に取るようなものだったから、私は目立たぬように買ったりした。

 時を経て、社会人になり、旅行で熊本に行く機会があった。車の窓から見た緑のやまなみに、感動とともに不思議なデジャヴを覚え、また絶対訪れたいと思った。その頃、趣味でカメラをはじめていて、雄大なその風景をフィルムにおさめたいと思ったからだ。それからというもの、都合がつけば必ず、熊本へと向かい、様々な景色を撮った。とくに、気象条件が揃わないと出会えない“雲海”を見たいと、何度も訪れたのだが、結局、きれいな雲海には出会うことはなかった。しかし、そうやって何度もチャレンジするうちに、雄大な風景に魅了されることになる。草千里、大観峰、かぶと岩など撮影ポイントが幾つもあって、尚且つ、季節や時間によって様々な顔を見せてくれた。特に、雲海は朝現れるので、夜明け前にはカメラをセッティングして待つ。そのあいだ、刻々と変わる朝焼けの空や雲は、一期一会で、それもまた感動的だった。

 その後、阿蘇に行くことはなくなったが、随分経ってから、偶然あのポストカードのイラストの作者を知る。葉祥明、熊本の出身で、あれはまさしく阿蘇の草原を描いたものだったらしい。少年の頃に見たイラストに導かれ、阿蘇へと通うことになったのも、何かの縁だったのだろうか。そして、知っていくうちに、実はあの“草原”が人の手によって、保たれているということも分かってきた。


 “里自然”(半自然)である“草原”、どのように成り立ち、守られてきたかを詳しくかいたところがあったのでリンクした。



 上のように、日本の“草原”の役割や実状がわかると、やはり、あの美しい“草原”がいつまでもあって欲しいと願う。地域だけのものでなく、国の宝だといっても過言ではない。

 観光立国を推進してるようだが、「美しい国」というのは何処かへ消え去ったのだろうか。カジノやリニアに力を入れる自公与党だから、推して知るべしか。森林環境税も、徴収するだけしておいて、何やら“ばらまき”の隠れ蓑にされてる感が否めない。

 

 取り敢えず、これで「日本列島再生→復元論」はひと区切りになる。ここまで、読んでくださった方々(片手で足りるけど(^_^;))有難うございました。あと、「里自然資本」について考察して、「日本列島復元論」は終わりますが、今後、新に知りえた事や、考えたことがあれば書いていくつもりです。