ニコラ・テスラは「物体は固有周期があり共振することで、莫大なエネルギーが発生する。」として共鳴装置を作り、鉄骨だけの10階建てのビルを鳴動させたことがある。
 時を経て、現在スペインのVoltex Bladeless社が渦励振「うずれいしん」(Vortex Induced Vibration)を使った風力発電装置を開発している。
Voltex Bladelessを直訳すれば「渦(うず)羽無し」ということになる。その名の通り、羽のない風力発電装置の販売にこぎ着けようとしている。

 渦励振とは、各物体が持つ固有振動数と、風が円柱などの物質に当たって発生する空気の渦の周波数が一致した場合に、共振を引き起こし振幅が増大する現象。本来は建築物を造る際の厄介者として扱われ、1940年にアメリカのタコマ・ナローズ橋がこの現象により崩壊したことで広く知られるようになった。

1940年11月7日,タコマナローズ橋

 

 1940年11月7日,タコマナローズ橋(タコマ橋)が崩壊。扁平H型断面が要因になり横風により起きる空気の渦が桁を上下に振動させ,さらに

大きな渦が発生して振幅を増大させる「自励振動」や「空力不安定震動」で発生した捩れフラッターにより崩壊落橋したとされる。一部始終がカラーフィルムで撮影された。

 Voltex社は物体が持つ固有振動数と、風が物質に当たって発生する空気の渦(カルマン渦)の周波数が一致した場合に、共振を引き起こし振幅が増大する現象「渦励振」を利用することで、高効率な発電を行いつつ騒音問題や鳥の巻き込み事故、膨大なコストを解決した。
 風速による共振点の変動に対して、内蔵の磁石を機動的に変化させて対応する。

 Vortex社が開発中の風力発電機Vortex Tacomaは円筒形で高さ2.7m、重さ15kg炭素繊維とガラス強化繊維(FRP)素材を使い、200ユーロで100w/hの発電能力を持つそうだ。
従来型の風力発電装置よりも建設費用を50%減、メンテナンス費用を80%減少。メンテナンスに油を使わないので、廃棄も容易とのこと。


常識を疑え! スペイン生まれの羽根のない風力発電機が2020年に販売スタート
https://emira-t.jp/topics/10803/?fbclid=IwAR1zoV6d-cKJkLunnj979Nl7jqk3AY9IXl9b5cpTNfVr5CiTRY5bNhq_08Q

カルマン渦風でできるによる強制的な振動
https://www.youtube.com/user/raul280876/videos

Voltex Bladeless社の「羽根無き風力発電」
https://vortexbladeless.com/