3年1組『なかよしいっぱい!』№35(2004,6,3)号より

《はじめに》

 今日もダンゴムシのお話。学級通信からです。ダンゴムシ、ヤゴ、カマキリに夢中になって教室にやってくる子どもたちの様子を描いています。家にいるときも、学校に向かう道も、教室で過ごす姿も、瞳をキラキラさせて生きる3年生のちびっ子たちの姿。

 子どもたちにとって、学校に行くことが“心の負担”になってはいない様子が伝わってきます。これは、ぼくの「学級づくり」が優れているなどと言ったことではなく、今とくらべれば、遥かに“子どもが子どもらしく生きる時間・空間”があって“居場所感覚”や“余裕”があったのだと思います。

(2024,8,22記)

 

朝、「ヤゴ元気かなあ」と吹っ飛んでいく英一斗君

「小さな生き物たちを、どんどん教室に持ってきていいよ」

って、話してあるから、みんないろんな生き物たちを持ってきてくれた。

 5月28日の朝、教室に飛び込んできたのは英一斗君。

「先生、おはよう」

「ああ、おはよう」

 そう言った瞬間、英一斗君は、教室の後ろにあるバケツに吹っ飛んで行った。

「ヤゴ、元気かなあ!」

 そこへ康輔君が飛んでくる。

「ヤゴ、ヤゴ、ヤゴ! 元気かなあ」

 もう、くすくす笑ってしまうくらい夢中です。

                 ※

「先生、あのね。ぼくたちのヤゴね、もう羽化するかもしれないよ」

 休み時間、飛びつくようにぼくのところにやってきて、ぼくの手を引っ張ってバケツに連れて行く。

「大変だ。水に顔を出すようになったら羽化が近い。水面にのぼれる石ころや、羽化のための枝を入れてあげなくちゃあ」

「わかった! ぼくたちとってくるよ」

 ヤゴを最初にメダカ池からとってきたのは優太郎君だ。2匹、育っている。

 ぼくが話すと、彼にいわれた。

「先生、そんなこと、もう昔から知っているよ!」

「…ムムム。さすが!」

 放課後の教室で、男の子たちが5・6人輪を作ってすわっている。ヤゴを育てるグループの秘密会議みたい。康貴君や嵩章君たちが加わっている。

 

毎朝、ダンゴムシ入りパックを持って登場する子もいるよ

 リサさんと春菜さんの手には、朝も帰りもトンカツが1枚入るくらいの透明パックが乗っかっている。

中は、落ち葉がいっぱい。そして、勿論、ダンゴムシがワンサカと入っている。ちゃんと、すみかを作って育てているから立派。そう言えば、智大君もそうだね。

                    ※

 かわいいびん(瓶)に、茶色のカマキリの赤ちゃんを入れて持ってきてくれたのは、理帆さん。『ぐんぐんのびろ』(自由学習ノート…B4の枠だけある白紙)にこんな文章があったよ。

『5月22日 カマキリが生まれたよ』

 5月22日、おじいちゃんとおばあちゃんからもらったカマキリのたまごから、カマキリが生まれました。まだとっても小さくて、気づかなかったから、ふみそうになっちゃいました。それから、1ぴきだけつかまえたカマキリを見ながら、カマキリの絵をかきました。色は、黄色っぽい色で、おしりらへんかがこかったです。足みたいのは6本でした。

 

真琴君の発見メモ

 ヤゴがミミズを食べるところを見れてうれしかった。石の上にヤゴがのってミミズを食べていた。

 

克秀・英一斗・康輔のヤゴ研究メモ

 ペットボトルのキャップをただおいといたら、かってに乗ったよ。すごかったよ。けど、水にもどれなかったのでぼくが助けてあげました。

 食べてるところがくちだけでたべていた。ヤゴのせおよぎがはやかった。おもしろかった。たのしかった。