親愛なる母上様 あなたが私に生命を与えてくださってから、早いものでもう二十年になります。 これまでに、ほんのひとときとして、あなたの優しく温かく大きく、そして強い愛を感じなかったことはありませんでした。 私はあなたから多くの羽根をいただいてきました。 人を愛すること、自分を戒めること、人に愛されること……。 この二十年で、私の翼には立派な羽根がそろってゆきました。 そして今、私はこの翼で大空へ翔(と)び立とうとしています。 誰(だれ)よりも高く、強く自在に飛べるこの翼で。 私は精一杯やってみるつもりです。 あなたの、そしてみんなの希望と期待を無にしないためにも、力の続く限り翔び続けます。 こんな私ですが、これからもしっかり見守っていてください。 また逢える日を心待ちにしております。 最後に、あなたを母にしてくださった神様に感謝の意をこめて。 翼のはえた“うし”より1993年、広島から一人の若者が西宮へ上京してきました
その青年の名は加藤貴光さんといいます
神戸大学に合格し、母親の元を離れる決心をしました
しかしその2年後、21才と言う若さでこの世を去りました
言うまでもなく、原因は阪神大震災です
住んでいたアパートが倒壊、その下敷きとなってしまいました
それでも、最愛の息子を失った母親の律子さんを支えたものがあります
神戸大学への入学時に付き添ってくれた律子さんのポケットにしのばせた1通の手紙
そこには、今まで恥ずかしくて面と向かって言えなかった
母の律子さんに対する感謝の思いが込められていました
その手紙の全文が最初に書いたものです
あれから12年経ってから、インターネットの震災追悼サイトで
その手紙を読み心うたれた奥野勝利さんは
貴光さんの手紙にメロディーをつけ1曲の歌にしました
この歌はテレビでも紹介されているので、知ってる方もおられるかもしれませんが
ここで紹介させていただきます
歌はこちらから
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