左中間に舞い上がった打球がグングンと伸びていった。2回無死、カウント1-3。多村が「ハマの番長」こと横浜のエース三浦の133キロ高めカットボールを真しんでとらえた。

 「完ぺきだったと思います。尊敬している先輩なので、結果的に打てて良かった。地元の慣れ親しんだ球場で、横浜ファンからも声援を頂いたおかげ」。かつてのホームグラウンドで、着弾点は左翼観客席のさらに上。球場を囲む看板手前まで運ぶ推定140メートルの特大アーチにご満悦だ。

 移籍3年目のシーズンに向けて完全な準備をしてきた。昨オフに故障者特例でFA権を取得。だが、早々にホークス残留を決意したのも今年にかける思いの強さからだ。チームから離れた昨年10月末からはボディービルダー山本義徳氏のメニューを実施。年が明けると前ナショナルズ・トレーニングコーチの友岡和彦氏の呼吸法なども取り入れたトレーニングに汗を流した。「(チームを離れる)昨年の10月18日に監督に信頼してもらって開幕に合わせてくれと言われた。シーズンを第一に考えてやるべきことをやっている」と自然と表情も引き締まった。

 成果はこの日の一発でも一目瞭然(りょうぜん)だ。昨年オープン戦でも横浜スタジアムで一発。ウッドの低めチェンジアップをとらえ、左中間席中段に突き刺した。今年は飛距離も増し、打球は最上段へ。川村コンディショニングコーチも「多村は上腕とリストがずばぬけている。オフに体幹を鍛えてさらに良くなっている」と舌を巻いた。

 海の向こうにわたった侍たちにも熱いエールを送る。WBCの第1回大会では3本塁打を放ち、不動のレギュラーとして世界一の原動力となった。今回はテレビの前で応援団と化し「今回のチームも順当に行けば世界一になれる。ワクワクして試合を見ていますよ」と目を輝かせた。

 この日は寝違えの首痛も癒え3試合ぶりの出場。首都圏遠征中はミーティングなどもあるため、家族の待つ横浜の自宅ではなくチーム宿舎に宿泊する。「寂しい思いをしています。でもこうやって結果を残して新聞に載れば喜んでくれるでしょう。地元で打てたことが良かったです」。ホークスのユニホームをまとった「ハマのアーチスト」が“わが家”での一発を契機に、臨戦モードに突入する。 
誰もが認める野球センスの塊の多村がですが、問題は怪我の多さです
記事によれば体幹を鍛え、バッティングはよくなったみたいですが
問題は体が強くなってるかだと思います
フルシーズン、試合に出れば間違いなく成績を残すバッターだけに、そこが一番だと思います
さて、今年はどうなることやら・・・