心を1つに決めた大田は、硬い表情のまま胸の内を語った。神奈川・相模原市の合宿所。詰めかけた報道陣の多さに戸惑いながら、はっきりとプロ志望を表明した。 「進学して4年間待つのではなく、プロで今すぐチャレンジしたい思いが強くなった。やはりプロの方が華がある」 大田が最終的にプロ志望を決めたのは締め切り前日の14日だった。10日から広島・福山の実家に帰省。両親に進路について相談した。進学か、それともプロか。そして同行した門馬監督に「やっぱりプロのあこがれを追いたい」と強い意志を伝えた。 12球団がマークしていた逸材は、今夏の大会後に東海大への進学希望を打ち出し、8月8日の東海大野球部の練習会に参加。同29日には特別技能推薦での進学書類も提出し内定を受けた。その進学希望から心変わりしたのは9月下旬。ソフトバンク・王監督が高く評価しているのを知ってからだ。すぐさま門馬監督に「プロに興味がある」と相談。大田の両親からも「王さんが評価してくれるみたいだが」との問い合わせがあったという。“世界の王”の評価がきっかけだった。 一躍ドラフトの超目玉となった大田。目標とする選手は「辰徳さん(巨人・原監督)です。人間として尊敬している」と話したが、希望球団については「自分に球団を選べる権利はない」。門馬監督も「志望届を出せば指名される可能性は12球団フルゲート」と12球団OKを強調した。運命の日まであと2週間。今秋のドラフト戦線がにわかに活気づいてきた。 ◆大田 泰示(おおた・たいし)1990年(平2)6月9日、広島県福山市生まれの18歳。城南中時代は松永ヤンキースに所属し、2年秋に県大会優勝。東海大相模では1年春からベンチ入り。今夏の北神奈川大会では、新記録となる5発を含め高校通算65本塁打をマーク。家族は両親、兄2人。1メートル88、90キロ。右投げ右打ち。
大田の突然のプロ志望を受け、プロ側もドラフト戦略の見直しを図る球団が相次いだ。進学希望を打ち出す前は、12球団が1巡目指名候補にリストアップ。その逸材が一転、12球団OKの姿勢を見せたことで、複数球団が競合する可能性は高い。 注目されるのは巨人の動向だ。東海大相模OBの原監督は「東海大進学と聞いていただけに驚きました。悩んだ末の決断と察します」と、まずは後輩の揺れる胸の内を思いやった。ただ、1巡目候補は社会人No・1の右打者、ホンダの長野(ちょうの)久義外野手(23)、強肩強打の東洋大・大野奨太捕手(21)をリストアップしており、大田指名の可能性には「球団として検討することになると思う」と慎重だった。 阪神、ヤクルトなどが静観する一方で、日本ハム・山田GMは「一度あきらめたが、もう一度戦略を練り直さないと。競合してでも獲りにいく価値のある選手」と方針転換を示唆。ソフトバンクも1巡目指名を切り替える可能性が高く、競合覚悟で指名に乗り出す球団は今後、さらに出てくることになりそうだ。今年注目の野手がプロ入りを決意し、各チーム戦略の見直しをしているみたいです
新聞社によっては巨人・阪神も獲得を検討すると出ています
今年は一括ドラフトに戻っていますし、各チーム頭を悩ませるでしょうね