サヨナラ勝ちだ! 3連勝だ! 2位浮上だ! 延長12回2死二、三塁で本多雄一内野手(23)の左前打で死闘にピリオドを打った。1点を追う9回に小久保裕紀内野手(36)の18号ソロで試合を振り出しに戻し、先発の和田毅投手(27)が五輪前のラスト登板で、自己最長の10回を投げる熱投だ。救援陣もロッテ打線を無失点で切り抜け、まさに総力戦で勝利を呼び込んだ。 打席の本多はなぜか笑っていた。延長12回、4人が必死につないでつくった2死二、三塁のサヨナラ機。「緊張しすぎて笑いが出てきた。こんなの初めてです…」。負けはなくなったが、今季ここまでチームの引き分けはゼロ。次の瞬間、張りつめた笑みは「本物」の笑みに変わった。 カウント2-2からの5球目。「追い込まれてヤバいと思ったけど、最後は振っていこうと決めていた」。三振覚悟で振ったバットは、見逃せばボールの外角直球を左前に転がした。興奮のあまりヘルメットをポーンと放り投げた。「日ごろの恨みですかねぇ」。爆発した笑みは、ナインにボコボコにされながら歓喜の輪にのみ込まれた。 今季3度目の同1カード3連戦3連勝。劇的な幕切れをおぜん立てしたのは、小久保の特大の一発だった。1点を追う9回1死、バックスクリーン右へ18号ソロ。「興奮したね。勝ちたい一心でバットを振った」。完投目前の渡辺俊から、初回の同点犠飛に続く同点弾で白星を強奪した。 本多、川崎、松中、小久保。これは、今季のホークスの1番から4番までの基本オーダーだ。交流戦明けは、4人が打点のチーム4傑。苦しみながら組み上げた不動の上位打線から川崎が五輪で抜けることは、最年少の本多も意識している。 「ムネさんが抜けて負け続けた、とは言われたくないですからね。二遊間を組んでいることもあるし、自分も、何とかしてチームを引っ張っていけるようにしたい」 15日に・294だった打率は、10日あまりで2分も下がった。「数字は意識しない」という選手が多い中で、あえて「やっぱり下げたくない」と言う。それも1番打者の自覚ゆえ、だ。この日は試合前に新井打撃コーチに、追加のトス打撃を志願。延長の2打席で2安打し、6月21日以来の猛打賞をマークした。 小久保は今カード初戦の25日にも2発。完全復調した4番に続いて、本多のバットも上向いての3連勝だ。「こういう試合ができるようになってきた。選手も戻ってきつつあるし、こういう形をね」。実に75日ぶりの2位浮上に王監督の声も弾むが、そんな時だからこそ手綱を締めた。 「ウチは波に乗りたくても乗れなかった。3つ勝ったぐらいであれこれ言っていられないよ。球宴まであと2試合、頑張りましょう」。今季9度のサヨナラ勝ち、30度の逆転勝ちは、いずれも12球団最多。粘りと執念の1点差勝利で、球宴まで5連勝フィニッシュの挑戦権を得た。今年というか、最近は粘る姿勢を見せてくれるようになりました
9度のサヨナラより、30度の逆転勝ちの方が価値があると思います
杉内・和田・川崎が抜ける五輪期間中は今より接戦になる可能性があるので
最後まで諦めない姿勢で戦って欲しいですね