(秋の投球から考える) 今までは、リリーフでの登板が多かったこともあるが、140キロ台中盤の球で、力で抑え込みに行こうと云う印象が強かった。そのため力むとシュート回転した球が、ことごとく甘く入り痛打を浴びる「典型的なダメな投手」だったのである。 しかしこの秋の投球を観て驚いた。力を無理に入れなくても相手を抑えることが出来るんだと云う、精神的に成長がマウンドでもはっきり読み取れた。その成長は、防御率1.37 四死球率の低下からも、はっきりと現れている。 (投球内容) サイドに近いスリークオーターから、先発だと常時140キロ前後と際だつ程の球速はない。しかし余計な力みが消えたので、手元までの球の伸びも良く、球速が落ちたことはむしろ、実戦的な球質へと変化した。変化球は、スライダーとシンカーと少ない。そのため緩急や空振りを誘う球には欠けるが、落ち着いてコーナーを突けるようになってきた。 元々牽制・クィックなども上手く、フィールディングも肘が下がって投げるスローイングを除けば、動きはかなり良い。そういった投球以外の総合力は、元々野手経験が豊富なだけに、中々光るものがある。 <右打者に対して> ☆☆☆☆ この投手の最大の良さは、アウトコースアウトコース一杯に出し入れされるスライダーのキレにある。そこに速球とコンビネーションで投げ込む。インハイにも速球とスライダー・時に右打者にもシンカーを織り交ぜて来る。速球とスライダーとの球速差が、意外に効果的で、打者のスイングに迷いが感じられる。この投手には、あえてカーブのような緩い変化球は必要ないのかもしれない。 勝負どころでも余計な力みが消え、丁寧に投げていれば討ち取れると云う自信が出来たのだろう。制球を乱すことなく、平常心で相手を討ち取ることが出来ている。右打者には、肘が下がって出てくる投手特有の球筋が、非常に厄介だと云えよう。 <左打者に対して> ☆☆☆ やはり左打者の方が球がみやすいだけでなく、制球力もアバウトになる。それでもアウトコースに速球とシンカー、インコースに速球とスライダーのコンビネーションで、大まかな投げ別けは出来ている。まあしいて云えば、右スリークオーターだけに、アウトコースへの速球がよりシュート回転しやすく、甘く入ってきた時は怖い。 ただ投球自体それほど悲観することはなく、特にシンカーがあることで、右打者よりも攻めのバリエーションは増えている。 (最後に) 精神的な成長が、もの凄く感じられる。これは!と云う決めてはないが、プロのマウンドでも、この平常心で投げることが出来たら、大きな痛手は食らわないのではないかと思われる。また牽制やクィックなども上手く、そういった面でプロ入り後苦労する心配はなさそう。 元々140キロ台中盤を叩き出せるキャパがあり、むしろ抑えた投球には素材としての奥行きが感じられる。一見粗そう印象を受けるが、今の投球が出来れば、プロでも即戦力に成り得るのではないかとさえ思って来る。元々疑問を持っていた投手だが、見事にこの秋、私の不安を払拭させてくれた。今の力を出せれば、リリーフで40試合・防御率3点台ぐらいは期待出来そうな内容であった。大学に入ってから、本格的に投手にコンバートされました
もともとの身体能力から野手としても期待されていましたが、本人も投手志望だったみたいです
ここでも書いているように上級生になるにつれ、ピッチングスタイルも変わり投手として成功しました
まだまだ成長する可能性は大きいのでこれからに期待しましょう
今年のようなチーム状態だと出番もあるかもしれませんが、まずはプロに慣れる事・・・
先輩達にはルーキーにポジションを奪われ無いようにプロとしての意地を見せて欲しいですね