熱い気持ちが叫びに変わった。逆転した直後の7回1死一塁だった。新井をカットボールで空振り三振に仕留めたか、に思われたが、ボークの判定。仕切り直しの初球、同じ決め球で新井のバットは空を斬った。「ヨッシャー!」両手でガッツポーズを決め、雄たけびを上げた。

 敗戦ムードの流れを変えた。1点ビハインドの6回に登板。テンポ良く3者凡退に抑えてマウンドから駆け下りた。7回の逆転劇へのリズムを生んだ。「僕のピッチングより、打線が逆転してくれたおかげです」2回を1安打無失点。巨人移籍後、初勝利で、殊勲の右腕は今季初のヒーローインタビューで、照れ笑いを浮かべた。

 長かった。苦しかった。でも、下を向かなかった。昨季までソフトバンクで2年連続60試合以上に登板。中継ぎのエースとして若手から慕われた男は、FAで巨人から古巣に戻った小久保の人的補償で移籍してきた。大分出身の九州男児が初めて経験する東京での単身赴任。不振で開幕直後にファームに落ちた。家族で撮影したプリクラを張った携帯電話越しの妻や子供の声が、心の支えになった。

 若手に交じってG球場で汗を流す日々。5月には一人暮らしのマンションを出て、選手寮に引っ越した。ホークス時代から愛用している練習用のグラブにマジックで「初心」と書き込んだ。プライドは捨てた。そして、登板7試合目でついにつかんだジャイアンツ初勝利。この日、スタンドからは愛する家族が頼れるパパを見守っていた。

 林が左肩甲骨の故障で離脱し、課題となっている7回を吉武が乗り切り、登板過多の西村、豊田を温存できた。原監督も「2人を休められたし、非常に意義のあるゲームでした」と、声をひときわ大きくしてたたえた。ペナントは佳境に入る。何度も修羅場をくぐり抜けてきたセットアッパー右腕の本番はこれからだ。
巨人移籍後初勝利・・・複雑な気分ですね
1軍で出場しない日々が続いて、使わないなら返せと思うことも多々ありました
それでも大事な場面で結果を残す辺りが吉武ですね
今年は登板数も少ないので、残り試合フル回転する可能性があります
吉武の活躍が見れそうです