田尻耕太郎氏のコラム
まるで悪夢のような3日間だった。3連勝すれば「首位奪回」と意気込んで臨んだ北海道日本ハムとの首位攻防戦。しかし、いま目の前にあるのは3連敗と「3位転落」という現実。まったく想像もしていなかった最悪の結果となってしまった。
 悔しい。本当に悔しい。だけど、何よりも落胆したのは、ホークスナインの戦う姿勢だった。

 16日の試合は、連敗で迎え絶対に負けられない一戦だった。しかし、初回に先制点を許し、5回には大量7失点。その時点で0対8と大きくリードを許し、しかも打線は相手先発のダルビッシュ有にパーフェクトに抑えられていた。
「おいおい、パーフェクトやっちゃうぞ。大変なことになりそうだ」
 記者席の隣に陣取っていた北海道日本ハム担当の新聞記者がつぶやいた。その直後の6回裏、先頭打者の松田宣浩が放った打球はショートへの平凡なゴロだったが、全力疾走が内野安打を生んだ。「大記録」は何とか阻止した。しかし、本当に悔しかったのはそこからだ。

 その後のホークス打線はとにかく淡白。ただ単にアウトカウントを増やしていくだけだった。食らいつく姿勢が見えないのだ。たとえば8回裏はわずか6球で終了。三振も多く、しかもボール球を空振りする。3球三振も2つあった。
 144試合を戦う中で「負け試合」と割り切る試合を作るのは決して悪いことではない。しかし、まだ8月も中盤、首位攻防戦の試合ではそれは当てはまらない。王貞治監督はいつもナインに「シーズンが終盤になるほど、一つ一つの試合の重みが増していく。これからはトーナメント方式だよ」と話している。特にこの日は練習前に野手陣が集められ、王監督からの訓示が行われた。それだけに、この試合内容には大きな失望を覚えた。

残り39試合……目いっぱいのプレーを
 今こそ思い出してほしい。1月31日、春季キャンプを前に発表された監督指針。今季の大きなテーマは「原点回帰」だ。
 原点といえば、高校野球だ。プロ野球選手ならば誰もが経験した一戦必勝の夏。この時期、テレビをつければ、たとえ10点差をつけられようが一塁へヘッドスライディングをする高校球児の姿を見ることができる。自分自身を見つめ直すのに、これ以上の機会はない。

 昨日(16日)の試合の9回裏、それに似たシーンを唯一見ることができた。本多雄一のプレーだ。2死走者なしからヒットで出塁。すぐに盗塁を決め、次打者のヒットで生還した。そのプレーには否定的な声も聞かれた。大差にもかかわらず盗塁したことや、手をたたきながらホームを駆け抜けたからだ。だけど、最後まで貪欲に1点を狙い、成功すれば素直に喜ぶ。それの何が悪いと言うのか。

 残り39試合。悔いの残る戦いだけはしてほしくない。日々全力で、そして楽しく。大好きな野球を目いっぱいプレーしてほしい。
いつもは自分の言葉を付け足すのですが、今回はここに書いてある通りなので
あえて、ノーコメントで・・・
皆様はどう感じますか!?