第89回高校野球選手権神奈川大会 ▽準決勝 横浜4-6東海大相模(28日・横浜スタジアム) 全国最激戦区の神奈川で準決勝が行われ、東海大相模が横浜を破り、決勝進出した。巨人・原辰徳監督(49)のおい、エース右腕・菅野智之(3年)が、スタンドで原監督が見守る中、168球を投げて完投勝ち。4回にはまさかの三振振り逃げから本塁に一気に生還するプレーも見せ、夏の神奈川大会では1975年以来32年ぶりとなる「打倒・横浜」を果たし、30年ぶりの夏の甲子園まであと1勝とした。

 執念、悲願が、まさかのプレーを生み出したのか。横浜スタジアムを埋めた3万人の大観衆がどよめいたのは4回だった。東海大相模が3点を先制し、なおも2死一、三塁、打席にはエース右腕・菅野が入った。カウント2-2からの5球目。横浜・落司雄紀のワンバウンドするスライダーに、菅野はハーフスイング。一塁塁審は「スイング」を宣告し、主審も空振りのジェスチャー。三振だ-チェンジを確信した横浜ナインは、一塁側ベンチに引き揚げた。

 その時だ。三塁側ベンチから指揮官が叫んだ。「走れ!」慌てて走り出す菅野。ベンチ前で円陣を組む横浜ナインの横を、打者走者の菅野まで3者が次々と生還した。主審がコールしたのは、あくまで「スリーストライク」。横浜の捕手・小田太平がワンバウンドで捕球したため、菅野にタッチするか、一塁に触球しないとアウトにならない。インプレーだったのだ。「自分でも何が起こったのか分からない。運があるのかな」一気にホームインした右腕は苦笑いで振り返った。

 ◇野球規則6・09 次の場合、打者は走者となる。(中略)(b)(1)走者が一塁にいないとき、(2)走者が一塁にいても2死のとき、捕手が第3ストライクを宣告された投球を捕らえなかった場合。【原注】第3ストライクと宣告されただけで、まだアウトになっていない打者がベンチ、または守備位置に向かっても、途中から気が付いて一塁に向かったら、守備側は、この打者をアウトにするためには打者が一塁に触れる前にその身体、または一塁に触球しなければならない。しかし、その打者がダッグアウトまたはダッグアウトのステップに達した後には、一塁に向かうことが許されず、アウトになる。

 ◆15年前は振り逃げに泣く 東海大相模は15年前、この試合と同じような「振り逃げ」を相手に決められたことがある。92年秋季県大会準決勝、対法政二戦。0-0の3回、法政二の攻撃。2死二塁で打者が空振り三振。しかし、大石捕手はワンバウンド捕球にもかかわらず、ボールを転がし、ベンチに帰ってしまった。打者走者はベンチの指示で一塁を駆け抜け、二塁走者も生還。結局、1-2で敗れた。

 巨人・原辰徳監督「ここまで来たら、悔いのない戦いをしてほしい。もちろん、甲子園に行くことを願っています」

 ◆プロ野球の振り逃げメモ 球史に残る"振り逃げ満塁本塁打"が60年の東映・大毎戦(駒沢)で起きた。2点を追う大毎は8回2死満塁、打者・山内和弘の時、フルカウントから土橋正幸投手が内角にシュートを投げ、判定は見逃しストライク。ところが、捕手がボールを捕り損ね、バックネットに転がった。「チェンジだ」東映・保井監督の指示にナインはベンチに戻ったが、走者、山内が無人のダイヤモンドを走り抜け、4点が入った。東映側は58分にも及ぶ抗議をしたが、聞き入れられなかった
高校野球らしいというか、ちょっとしたミスですね
これで負けた横浜は悔しくて仕方ないでしょうが
ルールですからね
1回こういうミスをすれば、次は絶対無いと思います
高い授業料を払ったと思うしか無いですね