ゴールデンウイークに再起動-。福岡ソフトバンクの希望枠ルーキー大隣憲司投手(22)が5月第1週に実戦デビューする可能性が浮上した。16日、西戸崎室内練習場のブルペンで腰痛が回復後初めて2軍首脳陣の前で投球を披露。状態を確認した石渡茂2軍監督(58)は「5月に入れば実戦で投げられるんじゃないかな」と、早ければ5月1日からのウエスタン・リーグ阪神2連戦(鳴尾浜)で公式戦初登板させる見通しを明かした。

 世間が大型連休に浸るころ、沈黙のルーキーが始動する。2軍のブルペンに響く、ミットを鳴らす甲高い音。「投球を見るのは(一昨年の)大学選手権以来かな。当時と比べて何割かは分からないが、さすがという片りんは見える。小さなテークバックから、打者が差し込まれる球を投げる」。編成部長時代の記憶をたどった石渡監督は「順調なら、5月に入れば実戦で投げられるんじゃないかな」と大隣の“デビュー”プランを口にした。

 宮崎春季キャンプ中に発症した腰痛が癒え、1日から2軍の全体練習に合流した大隣。福岡で居残り調整中の10日に春季キャンプ第2クール以来61日ぶりに投球練習を再開すると、3度の立ち投げを経て、14日からは早くも捕手を座らせた。

 30球、40球と球数を増やし、遠征から戻った2軍本隊と合流したこの日はスライダー、フォークも交えて52球。「今日は納得いくフォームじゃなかったけど、故障前と比べても普通に投げられています。遠投をやっていましたし」。順調な調整ぶりを淡々と語った。

 12日のオフを挟み、投球再開から6連投。それでも念入りなストレッチが奏功し「腰や肩ヒジに痛みも不安もない」と言う。居残り調整中の投手を指導する斉藤育成担当は「補強運動で体を強化しながら、あと10日ぐらいで100球まで球数を増やしたい」とペースアップを計画。「そこまでいけば打撃投手やシート打撃などで投げさせて、ゴールデンウイークぐらいに(実戦で)投げられれば」と首脳陣の総意を説明した。青写真通りにいけば、早期の1軍デビューにもはずみがつきそうだ。

 突如として視界に現れた剛腕に、負傷で調整中の助っ人も注目だ。投球を観察したガトームソンは、山田通訳に「何でこいつはここ(2軍)にいる? 」と不思議顔。「ナンバー1ピック(ドラフト1巡目)なんだろ。体もしっかりしてるし、腕の振りもシャープ。すぐ1軍に上がってくるんじゃないか」。自身も先発5番手の立場を固める途中だけに、うかうかしていられないといった表情だ。

 きょう17日は遠投で調整し、18日もブルペン入りの予定。「早く実戦で投げたい気持ちはあるし、今、打撃投手をやれと言われても大丈夫だと思う」と大隣。キャンプから伸ばしっ放しの髪が時間の経過を物語る。だがその間に増したたくましさで、今は前しか向いていない。 
ようやく本格始動となりました
4本柱に続く先発陣だけでなく、中継ぎ陣も不調で
2軍での登板を経て、昇格する可能性も十分あります
遅れてきたルーキーの巻き返しがこれから始まるかもしれません