福岡ソフトバンクホークスの小久保裕紀内野手(35)が「ミスター・ヤフードーム」を襲名する。小久保はエース斉藤和らとアリゾナで行っている自主トレを公開した。4年ぶりの古巣復帰となる今季、05年に後輩の松中信彦内野手(33)が記録した本拠地、福岡ヤフードームのシーズン最多本塁打記録「24本」の更新を目標に掲げた。飛距離アップに向け、自主トレでは下半身の徹底した強化に着手。ヘッドスピードを上げるために、従来より約10グラム軽量化した「キングバット」もすでに発注した。かつての個人トレーナー、山尾伸一氏(38)とも再契約し、肉体をケアする態勢も整えた。骨を埋める覚悟で舞い戻った古巣の本拠地を、まさにわが家の庭とする意気込みだ。 決して妥協しない。手抜きしたくなるような基本運動の連続を、小久保はスピーディーかつ丁寧に、確実にこなした。アリゾナ特有の強い日差しを浴びながら、ダッシュ、ジャンプ、サイドステップ、と数々の下半身強化メニューを消化。アリゾナ自主トレに初参加した20歳の江川は「体幹部の鍛え方が全然違います」と、15歳も年上の先輩の動きに脱帽した。「バットは2月に入れば嫌というほど振れる。今は打ちたいのを我慢して、下半身を徹底的に鍛えてます」。明確な狙いが小久保にはあった。 福岡ヤフードームと再び勝負する。小久保は言った。「僕はドームに育ててもらった。もう1度、しっかり鍛えてドームに負けないようにしたい」。巨人時代の本拠地、東京ドームは両翼100メートルの広さは同じながら、フェンスの高さは福岡ヤフードームが約1・8メートル高い。「オープン戦なんかで来たときはやっぱり広く感じた」と小久保。新人時代、打球をこの「グリーンモンスター」より遠くへ飛ばすため、練習に明け暮れた。その土台が、今の小久保を築き上げた。 巨人に移籍した3年間で、大きな目標ができた。04年にドームでシーズン19本塁打の新記録を作った松中が、05年に自ら塗り替えた。「24」発。「24本? すごいね。何とか育ててもらったドームで、数多く打てるようにしたいね」。自己最多は02年の16本。4番争いの筆頭ライバルになる松中の記録更新に、小久保は意欲を見せた。 すでに準備に着手している。昨年11月に岐阜のバット工場を訪れ「キングバット」を発注した。黒と茶色のツートンカラーは昨年と同じだが、中身が少し違う。バットの先端部分をくりぬき、従来の910~920グラムの重量を約10グラム軽量化。タイカップタイプのグリップ部分もバランスと振りやすさを追求し、小指をかけるようにアレンジした。「4、5月くらいは球場の広さを意識して振り回してしまうかもしれないからね。キャンプでヘッドをくりぬいていないタイプと2つを試してみますよ」と宮崎春季キャンプで新バットをテストする考えだ。 シーズンを通してアーチをかけ続けるために、肉体面のケアにも怠りはない。一昨年まで個人トレーナーを務めていた、宮崎出身の山尾氏と再契約した。かつて40歳までプレーした石毛宏典氏、オリックスで今季、40歳を迎える清原の専属トレーナーを務めた実績を持つ。「ホークスは若いファンが多いみたいだけど、35歳のおっさんが行ってもよろしくお願いします」。ドームに高々と舞い上がる放物線を、ファンへの復帰あいさつにする。小久保の「もう1度、しっかり鍛えてドームに負けないようにしたい」というコメントいいですね!
小久保はライバル松中の記録を目標に、松中は小久保の背中を目標に
お互い刺激をしつつホークスを優勝に導いてほしいです!