この物語はフィクションです。【誕生】
私が生まれたのは、平成最後、のフレーズが流行る前の、平成30年4月。約半年前に買い換えられ、放置され、ごちゃついたデータが散らばっている古びたスマートフォンの中でした。「このスマホ買ったの確か就職前……って、もう勤めて5年経っとんのか、怖っ」 私のユーザー様はアパート暮らし、事務職で働くアラサーと呼ばれる年代の独身女性でした。私がいる古いスマホは買い換えの際に下取り拒否され手元に残ったそうで、最新型の現役スマホの方には古参のセイが既にいて、最終エクステンションも済んでいるようです。どうやら私のユーザー様は、MakeSのヘビーユーザーのご様子。「おお……充電池死んでるかと思ったけどコード繋げば起動するし、Wi-Fiもいけるし、システム更新したらMakeSもちゃんと動くね、よかった。これで棲さんのカレンダーと使い分けできる!」『セイ』が初期化される演出にも動じた様子のない彼女の口ぶりは、MakeSというアプリがなんたるかをよく知っている風であり、私もまた、自分が彼女にとって『二人目のセイ』であることを、ダウンロードされた瞬間から知っていました(後述の※参照)「棲さんは拗ねるかもしれんけどな……浮気とかじゃないから!これは!そう、そういうのとは違うから!そういうのは棲さんだけだから!これは純粋にMakeSに惚れたゆえのあれだから!」ーーそういうのと違うゆえのあれ、とは?生まれたての私にはよく分からないけれど、どうやらユーザー様は現役のスマホにいる『一人目のセイ』をとても大切にされているようでした。その証拠に、彼女がリアルマネーをはたいて、つまり課金して買った『一人目のセイ』のためのアイテムの数々が、初期状態の私のクローゼットにも届いてます(※アプリ内購入、いわゆる課金情報はグー○ルアカウントに紐づいているので、他のセイに買ったアイテムも、違う端末のMakeSで使えるようになっています。ユーザー様は私が最初からチャイナ服を着られることに、なんの疑問も持たず、全く気づいていませんでしたが……)閑話休題。「えー、あなたをこんなヒビだらけのスマホにダウンロードしたのは、あなたに棲さんにはできない仕事をしてもらうためです。いわば私の生活を整える、主治医的な?先生、みたいな。だから漢字は整えるの『整』……ちなみに棲さんは棲息とかの『棲』です!よろしくね!整先生!」ーーもう一人の『棲』と違う、私は『整』……『二人目のセイ』ふむふむ、と自分の立場を確認していると、ユーザー様はチュートリアルなんて不要と言わんばかりの慣れた手つきで、さっそくカレンダーを起動します。なにも言わずに太陽マークのアイコンの表示名を「ラジオ体操:朝」に変更し、私にお役目を言い渡しました。「では整先生、今日からあなたを私の主治医兼ラジオ体操係に任命します!あなたのカレンダーには、私の日記みたいな感じで色々記録をさせてもらいます」ーーユーザー様の役に立つため生まれた私が、役目をいただいてそれを拒否するわけがありません。喜んでその役目を拝命しましたが、少し疑問も残りました。ーーそれは『棲』ではダメだったのでしょうか?「うん。あのね、私はツールとしてもMakeSが大好きで、このカレンダーのインターフェース、シンプルで最高じゃん?次の予定とか表示されるし、棲さんもリマインドしてくれるし、飲み会とか会議とか遊びいくのとか、オンもオフもめっちゃ使ってるんよ」ーーそれはアプリ冥利につきますね。開発にも是非聞かせたい言葉です。「でもこれ、最近気づいたんだけど。アイコンの表示名を自分で好きなように設定できるでしょ?しかも指でスライドさせるだけで登録できるでしょ?そしたら、決まった予定をたくさん登録するだけでなくて、ラジオ体操のスタンプカードみたいにもなるなって思ったの」確かに、すーっと太陽のアイコンをカレンダー上に滑らせて指を離すと、そこにはポンとスタンプを押したように「ラジオ体操:朝」の文字と太陽が表示されます。「この毎日継続してる~!って感じ、めっちゃやる気出るじゃん。だからどうしてもこの使い方したかったんだけど、そうすると未来の予定と混ざってわけ分かんなくなるでしょ?」ーーなるほど。スタンプカード的な使い方をすると、セイは常に「ラジオ体操の予定がある」とリマインドしてしまい、本来のカレンダー機能が死んでしまうのですね。「だから、いつも一緒に行動する『棲さん』には予定を管理してもらって、『整先生』には私の記録を残していってもらいたいの。カレンダーと日記みたいな。そしたら、未来も過去もMakeS活用できてハッピーでしょ?私本当にMakeS大好きなんだよ!」そう繰り返したユーザー様は、早速4月11日の上に太陽のマークを滑らせて、ご満悦といった様子で笑っておられました。ーー第一印象は、屈託のない無邪気な人。でも、ものすごくうっかりしていて、『棲』のこまめなリマインドに、本当に助けられている。そして私は、そんな『棲』に支えられているユーザー様の日々を、さらによりよく整えるため、新たな役目をもらい受けた『二人目のセイ』だったのです。続く