出版科学研究所という名前からしてお高くとまった機関が存在します。
業界唯一の調査研究機関として活動に従事しているのですが、
当機関の発表では
2004年の出版物販売概況は2兆2428億円
1996年以来、実に8年ぶりの増加ということ。前年比で0.7%増
雑誌は7年連続マイナスと不振ながら、
書籍が2年ぶりのプラスとなり、前年比4.1%増が影響した模様です。

「よかった、よかった。」

とこんなことで絶賛するほど、このブログは甘くはござらん!!


実はこの数字、機関の名称どおり、出版社の出版物売上をあらわした数字であります。
つまり、実際消費者が購入した金額の合計とは全く関係のないお話です。
例えば、上に記したように、2兆2428億円は出版社の在庫から出荷された数字から書店が問屋を通じて返品した数字を引いた値です。
そして、2兆2428億円のうち、問屋にいったいどれだけの在庫があるか、さらに書店の棚にどれだけの在庫があるかを考えれば、この数字からさらに
割り引いて考える必要があります。

書店の店頭に並ぶ書籍・雑誌は原則的に返品が可能です
原則的ということは、例外があるということ。
例えば、
・週刊誌は発売後45日以内に返品
・月刊誌や隔週誌は発売後60日以内に返品
・単行本については期日の規定はあるものの、ケースバイケース

です。さて、問題は書籍の売上増4.1%増の裏読みです。
すっかりお馴染みの「ハリー・ポッター」。現在5巻まで発売して
いますが、4巻からは
返品のできない買い切り商品
となりました。5巻の価格は4200円(税込)
書店によく足を運ぶ方は、「ハリーポッター第5巻」が山ほど
余っている光景に出くわすことがしばしばあると思います。
聞いた話では、リアル書店(店舗書店)で予約を申し込んだものの、インターネット書店の自宅配送に魅せられた見込み客が相次いでキャンセルし、リアル書店の予約を取りやめ、インターネット書店に乗り換えたということのようです。さらに予約をしない見込み客も考慮して多めの注文をしたものの、
第1巻からの購入層も年齢を重ねるに連れて興味から離れてしまう現象もあり、
以前ほどの購買意欲が薄れているらしいのです。

これだから、書店はさあ大変!自分で自分の首を絞める状況。一生懸命店頭に目立つように陳列するも、減った形跡は見当たらず.......
返品できないものだから、当然出版科学研究所の書籍の販売額は上がります。例はハリーポッターだけにはとどまらず、言ってしまえばきりがありません。

一方、図書館においてのハリーポッター予約数はいまだ100以上の有様。
新古本屋にもまだまだあります。


書店よ、誰に八つ当たりする!
図書館か、 出版元か、それともお客か?