こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。

今日は・・・ああ、避けていたんだけれどやっぱり書いちゃう。

こちらです。

「秘密」　

作者の清水怜子さんは、やっぱり大好きな作家さんの一人。

この人絵が超絶に綺麗なんだけれど

結構グロいもの描くんですよね。

あの体温の無い綺麗な絵で

皮膚を引っぺがされた人間の死体を描くんだから

たまりません。

この「秘密」という作品は

設定は未来の話。

死んだ人の脳の「記憶」を

5年ぐらいなら遡って

再現できるシステムがあり

それを犯罪捜査に利用している時代。

主人公は青木さん。

強烈な副主人公？は薪さんという人で

上に上げた画像でいうと

金髪が薪さん、黒髪が青木さんです。

物語は、犯罪捜査と脳から見える画像を

いかに読み解いていくかというところに

一番のポイントがあるんだけれど

薪さんと青木さんの「人間関係」にも

けっこうなポイントが置かれていて

どっちを取るかで趣味が分かる・・・というか

まあ、清水さんらしい

一杯複線張った物語なので

一冊ごとにかなり読み応えがある物語です。

詳しくは読んで頂くことにして・・・

死んだ人の記憶の画像を見続ける

第九（と言う部署なんです）の捜査員たちは

まあ、業の深い仕事をしているわけです。

つまり、本人が見たことや

イメージ化していることを

死後に「見る」ことになるわけだから

本人しか知らない＝見ていないことも

死後に他者に見られちゃうっていうことになる。

この「秘密」の第一巻の一番最初の物語は

主人公二人とも出てこない

おそらく短編として描かれたものでしょう。

ひそかに自分の母親に思慕をよせていた

その短編の主人公は

開発されたばかりのこのMRIという

死者の記憶を見る方法を使った

初めて捜査に加わります。

そこで、死者が文字通り

命を賭しても隠したかったことを

暴かれてしまう現場を

目の当たりにするのです。

だから、彼は捜査後

大好きな母親の元を去ります。

本当に秘密にしたかったら

「見てはいけない」。

このマンガを読むとですねえ

知るっていうことは

必ずしも理解するってことじゃないんだなっていうこと。

人が欲しいのは

知ってほしい、より

多分、理解してほしいなんですよね。

この死者の記憶の再現は

画像だけで、音は再現されないという設定だから

文字通り「絵」だけなんです。

でも、同じ絵なのに解釈によって

全然「違う」絵になるんです。

それは「秘密」でも再三再四問われているテーマで

現れている絵を解釈する

つまりどう「理解」するかで

全然捜査の方向性も変わってきます。

その理解という「読み方」に

読み手も唖然とするんですよね。

結局「絵」が残っていて

決定的なシーンが再現されても

それをどう解釈するかで

現実に何が起こっているのか

全然理解が違ってしまう。

こういうことってよくあるような気がします。

よく知っていることが

よく理解していることではない。

理解する為に知ることは大事かもしれないけれど

でも知ることそのものが絶対必要なことでもない。

知るってなんだろう。

理解ってなんだろう。

目に見えていたものと

目に見えないものを

第三者が「見た」時に

どれだけ理解していけるかのほうが

本当は一番大事。

心理カウンセリングでは

お話を聴きます。

私達の仕事では「受容する」＝無条件の受け入れが

大事なポイントで

それを「聴く」ことを通してまず具現化するわけですが

単に聴くだけだったら

それはつまり「知る」だけのことで

そこから始まる「理解」こそが

（カウンセリングでは相談者が自分のことを）

本当は大事なことだったりするんです。

知ることの業と知ることの限界。

そこから理解することの大事さと困難。

すごく大事な人が死んだとして

その人の脳を私は見たいかな？

全てを知りたいと思うかな？

理解してるからいい、と思うかな？

何を知ることになるかが怖くて見ないかな？

知るってなんだろう。

理解ってなんだろう。

そんなことをぐるぐる考えながら

ついついまた読み直してしまうマンガなのでした。

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『知ることと理解は違うんだね』from 秘密