こんにちは、プロフェッショナル心理カウンセラーの織田です。

今日はこちらの作品を。

「夏目友人帳」

最近のヒットだなーと読んでから

実はブレイクした作品と知って

納得しつつも、こういう作品がヒットする時代なんだなーとも

しみじみ。

最近の若い人が「悩む力」を持っていないのではないかと

私達心理カウンセラー仲間で言ってたりするんだけれど

そこからすると、こういう重たい事情の作品って

敬遠されるんじゃないかと思いきや

惹かれるんだね。

うん、わかる。

夏目くんは、実の親には死に別れ

妖怪を見る力を持っていたために気味悪がられ

親戚をたらいまわしにされて

友達も一人もいない。

不幸の水溜りみたいな人です。

まあ、心理的安全性がちゃんとしていない間は

友達って出来にくいんですけれどね。

両親を亡くして以来

初めて安全を感じる「家庭」に迎えられて

やっと彼は人間・妖怪両方に

友達や肯定的な知り合いを

得ることができるのです。

この物語を読んでいると

すごく感じるのは

妖怪や周囲の人間とのいわゆるあらすじだけじゃなく

ずっと止まっていた夏目くんのココロの成長が

藤原家に来て初めて

動き出したように思うのです。

強大な妖怪であるにゃんこ先生、

周囲に群がる妖怪の群れ

学校で知り合った「妖しいアンテナ」持っている人たち

妖怪退治のスペシャリストなど

周囲の人間や妖怪への興味を抱き始め

どうやってかかわったらいいのか戸惑い

自分の殻から少しずつ外に出てくる。

これは、おびえた子どもが

ちょっとずつ外の世界をのぞいて

ちょっとずつ外の世界に出て行く姿に似ていて

夏目くんが喪失と痛みの中から

回復していく姿が

とても繊細に描かれています。

ろくに人付き合いをしてこなかったから

とても人付き合いに敏感で

ちょっとしたことに動揺するくせに

びっくりするようなところで鈍感。

こういうの、結構多い気がします。

安全ってわからないうちは

どうしても踏み出せないぐらい臆病なのに

ときどきびっくりするような振り切り方をしちゃう。

こういう夏目くんだから

人は自分の姿を重ねやすいのかも知れませんね。

悩んだり考えたり

自分の本音をいう場所が見つからなかったり

いろんなことを自分の中に封じ込めて

考えるのはしんどいから

悩むのも考えるのも放棄してしまう。

大丈夫、なかったことにすればいい。

あるはずのない妖怪のように。

大丈夫、存在していないことにすればいい。

あるはずのない妖怪の存在のように。

そうやって、人が見なくなった「妖怪」を

見てしまう目を持つ夏目くん。

そんな彼を多くの人が愛するのであれば

きっと、人は見たいんですね。

辛くてもしんどくても

自分のココロをみなかったことには

したくないのかもしれませんね。

本当は、

妖怪にあってみたかったりするように。

夏目くんがもっと沢山の人に愛されて

夏目くんのように

外の世界に向けてココロを広げられるような

そんなきっかけになってくれるといいなと思う

本日の織田でした。

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