山崎豊子さんの小説を読んだ。主人公と言われた瀬島龍三氏は、伊藤忠商事の会長まで上り詰めた。人脈と運が、恵まれた男性だった。ことごとくグレーであるが、生前、口を割ることや話をそらして、言わなかった。とうとう墓場まで持って行ってしまった。瀬島氏は、強制労働とか劣悪な環境とは無縁であったと聞く。これを聞いたシベリアで死んだ兵隊の遺族は、やりきれないだろう。実際、遺族団体は、瀬島氏を犯人扱いしている。停戦協定の条件として、強制労働を申し出たと言う証言もある。ニヤリニヤリニヤリ本当のところは、謎である。伊藤忠商事を辞めてからも、華々しい経歴が続いていく。義理と人情の世界。男性の小説だろう。高度成長期を駆け抜けた男性の小説であった。女性は、小説には出てこない。まだ時代がついてきていないのだろう。一つの時代が終わったのかな。