私は、苦労をした、という言葉をあまり使いたくないと思っている。

しかし、娘を育てるには、相当の苦労を要した。

娘は背中から肩、腕にかけて、巨大な黒いアザを持って生まれた。

生後9か月から、切除手術が始まった。

8回の手術の後は、皮膚移植をし、半袖の服でアザは見えないようになった。

 首の後ろのアザに冷凍やけどを起こして、色を薄くするには、美容整形外科にかなり通った。

 痛みを耐えるのは、娘だ。

私が困るのは、なぜ彼女がこの特殊な身体に生まれたのかという疑問に全く答えられない事だった。

 

娘が小学生の時に行った、アドラー心理学のオープンカウンセリングで返ってきた答えは

「それは神様が付けてくれた印なんだよ」

少し安堵したのは、もちろん私のみである。

 

思春期を迎えた娘はある日、ペンケースを壁に投げつけて

言った。

「なんでこんな身体に生んだんや!」

 

感情的になった時には、その場を離れることをアドラー心理学で学んでいた私は玄関を出た。

どれくらい歩いたか覚えていない。

 

何も答えられない事が苦しい、しかし、どうしようもない。

 

「神様の印」は中学生に通じる訳がない。

 

幾度となく、今でもこの時の苦しさを、思い出す。

 

結局、気が付けば、どこを歩いているのか場所が分からなくなり、公衆電話を探して、夫に車で迎えに来てもらう騒ぎになった。

それ以後、彼女はその質問をしなくなった。

 

この経験がブログ記事を紹介しようと思ったのだと思う。

 

 娘は幸い、成績も優秀で、運動神経も良かった。

高校時代のダンス部では、大勢の仲間と踊り、親はあちこちに写真を撮りに回った。ベストショットを壁に飾っている。

 

進学先も、就職先も迷うことなく、努力を惜しまずに決めた。

親が言うのもなんだが、何でもそつなく、こなす。

親友の結婚式には、振袖姿で受付をした。

イタリアへの一人旅は事後報告だった。

今は、小さいデザイン事務所で働いているが、社長夫妻の

信頼も厚いらしい。

 

ご紹介するのは、長いブログだが、見出しがある。

「監獄の中」「足あと」「マインド」など、諸兄の中で

どれが琴線に触れるかは分からないが、ご一読願いたい。

 

特に不登校のお子さんがおられたら、最後の体験談を

ご覧いただきたい。それも、目的の一つだ。