「雅紀先生、よかったらお弁当一緒に食べませんか?」

「ええ?!いいんですか?」

「せんせい、いっしょにたべよーよ」

 

 

 

じゃあ、お言葉に甘えちゃいます。

くふふと笑って俺たちの輪に加わった。

 

 

 

♪♪♪~

 

 

「あ、ヤベっ!タイムリミット過ぎてた」

 

スマホが鳴った斗真が画面を見て焦る。

 

「あ、斗真用事あった?ごめんな休みなのに」

「いや、いいのいいの。俺も花見したかったから」

 

だけど急いで自分の皿に乗せていた唐揚げを口に入れると、紙コップや箸を片付け靴を履いた。

近くに見慣れぬ外車が止まると、運転席のドアが開いて人が降りてばたんと大きな音を立ててドアが閉められた。

 

「潤、片付け手伝えなくてごめんな!」

「ううん。いいよ。

え?知り合い?」

「彼氏だろ?斗真」

 

翔くんが言うと

 

「うん、そう。

今日本に帰ってきてるから相手しないと拗ねちゃって」

 

「でもよくここがわかったな・・・」

大野さんがつぶやく。

 

「あ~。俺、GPSつけられてんの?」

「「「「GPS?」」」」

「そ、おもーい愛の手錠ってやつ。

じゃ、行くね!」

 

ばーい、と斗真はウインクをして車のところへ走っていった。

 

 

 

「へ~、あいつそんなことやするんだ」

「へ?翔くん相手知ってるの?」

「ああ。デザイナーのトモヒサ・ヤマシタだよ。

ほら、俺らモデルやってた頃に、ちっこいのいただろ。

あんときのやまPだよ」

「え?あの山下?

え?彼氏って、斗真、付き合ってるの?!」

 

大きな声で叫ぶと、あれ、それも知らなかったの?と翔くんに言われた。

 

「いやー、しらなかった・・・」

「斗真って、いつも潤のこと守ってたから、なかなか言い出せなかったんじゃない?」

大野さんがビールを手にもってつぶやく。

「まあ、この半年ぐらい潤くんの感情上下しまくりでしたもんね」

にのも同調するように言った。

「その節は、大変ご迷惑をおかけしました」

翔くんは平謝りしている。

 

 

 

おれは、そんなやり取りを聞いて、にこにこと笑っていた。