「お待たせしました、お弁当です!」

「うわ~すごいすごい!」

 

 

 

家にある保存容器だけでは足りず、にのの家のと大野さんの家のも借りて作ったお弁当。

りんちゃんとひかるくんは目を輝かせた。

 

 

「あれ?まさきせんせいだ」

「あ、ほんとだ。

まさきせんせーい!!」

 

 

 

子供たち二人が大きく手を振って、通りがかりの大人を呼び止めた。

 

 

 

「あ~、りんちゃん、ひかるくん、お花見?」

「そうなの」

 

 

 

年長に進級した二人の新しい担任の先生だ。

 

 

 

「こんにちは。雅紀先生もお花見ですか?」

「いや、オレまだこの辺に住んで間もないんで偵察かねて散歩です」

「偵察?ですか?」

「え~と、なんていうんですっけ?こうゆうとき」

 

 

 

俺と翔くんが雅紀先生と話していると、

「あいばくん?相葉くんだろ?」

「え?!あれ?!にの?!」

「やっぱりそうだ!相葉くんだ!」

「あ、もしかしてひかるくんってにのの子?」

にのと雅紀先生は知り合いのようだった。

ここ数日、にのは締め切りが忙しくて、進級式にも出ずに仕事をしていたから新しい担任の先生にも会っていなかったのだ。

 

 

「ええ?すごい偶然!」

「高校、以来だね」

「あ、そうだね」

 

 

 

ふたりともなんだか照れている。