夜の営業が終わって、明日の仕込みは斗真たちにお願いした。

 

りんちゃんはもともと大野さんの部屋との行き来をよくしていたし、

光くんとも一緒にお泊りをしたことも何度かあったので

特に困ることなく大野さんの部屋へと行った。

 

 

ワインを1本と、つまみになりそうな食べ物をいくつか作って自分の部屋に戻ると、

翔くんはずっとダイニングテーブルで仕事をしていたようだった。

おれが戻ると

「おかえり」

と言って、テーブルの上のパソコンを片付けた。

 

 

 

「俺、パリに行くって言ってたよな」

「うん」

 

ふたりでワインを飲みながら話をした。

 

「そっから日本に戻れずにそのままニューヨークに飛んだんだ」

「え?!ニューヨーク?!」

「ああ。

パリからニューヨークに行くときに、日本のお前宛にお土産を送ったんだよ。

でも宛先が間違ってる、荷物を受け取る人がいないって。

泊まってたホテルに連絡が行って、そこから会社に連絡が来て、それでニューヨークの俺のところに連絡が来たんだ。

住所を間違えたんだと思って電話してみたら、もう繋がらなかった・・・」