Sside
ベッドルームに戻ってみたが、潤は相変わらず夢の中の住人だった。
潤に背を向けるよう、俺はベッドの端に腰かけた。
自分がオメガだと潤にばれていたのは想定外だった。
うまく隠せれていると思っていたからだ。
どうしようか・・・
こいつに口止めする?
・・・・・・でも、わざわざ口止めをしなくても、こいつは言いふらしたりしないだろう。
だって、今までも知ってはいたのに誰かに話した様子がないからだ。
・・・このままで、いいか。
ふと、振り返って潤を見た。
(かわいい寝顔、してんなー)
潤の動向が気になるが、今は弟と会社のことが気にかかる。
自分が何も言わなければ、誰も知らず『なかったこと』になるかもしれない。
潤、俺・・・
人差し指でそっと潤の魅惑的な下唇に触れた。
それを、自分の唇に当てる。
だいじょうぶ
ベットから立ち上がると、そのまま振り返らずに部屋を出た。
小さく扉が閉まった音に反応して、潤が目を開けていたことを俺は知らなかった。